L.v.ベートーヴェン 交響曲第2番 ニ長調

指揮カール・シューリヒト
演奏RIAS交響楽団(ベルリン放送交響楽団)
録音1953年11月19日
カップリングブラームス 交響曲第2番
発売Chaconne
CD番号CHCD-1006


このCDを聴いた感想です。


 シューリヒトのベートーヴェン交響曲第2番の録音は、パリ音楽院管との全集をはじめとして、ウィーン・フィルとの録音などいろいろ残っていますが、この演奏は、1951年頃のウィーン・フィルと1957年頃のパリ音楽院管との間の1953年に録音されたものです。
 残念ながら、わたしはウィーン・フィルとパリ音楽院管の両録音とも聴いたことが無く、このRIAS響だけを聴いての感想となりますが、シューリヒトらしく速いテンポでスッキリとしていながら、一つ一つフレーズを大切にした折り目正しい演奏という印象を受けました。
 例えば、第2楽章にしても、思い入れたっぷりに表情を付けて歌うのではなく、少し速めのテンポで、音にスピード感を保ちながら歌っています。スピード感があるといっても軽く流したような歌い方ではありません。スピードとともに力も入っていて、小節を意識して拍をとっていたりと、しっかりとした歌い方というのがより近い表現だと思います。
 地に足を付けた演奏で、テンポが速いわりにそれほど勢いが表に出ているわけでもなく、表情を強調したり劇的に盛り上げているわけでもないので派手さはありませんが、聴き込めば聴き込むほど、曲自体が持つ良さをストレートに感じ取ることができます。
 演奏しているRIAS交響楽団も、おそらく当時はフリッチャイの指導の下にあったと思いますが、フィーリングで片付けてしまうようなところが全く無く、細部まで理詰めで詰めていったようにきちんと演奏しています。ただ、その一方でここぞという場面でひときわ強く光り輝くようなカリスマ的な華やかさはありません。盛り上がる部分でも、ピアノから段階的に上がってきた積み重ねの延長線で、それまでとは一線を画した飛躍が無く、技術的にはかなり高いレベルだと思いますが、どうしても地味に聞こえてしまうのです。
 この地味に聞こえてしまうという点が、わたしもこの演奏の良さが長い間分からなかった原因でもあります。
 このCDを買ったのはかなり古く、わたしがまだ学生の頃、今から二十年近く前のことで、当時、ベートーヴェンの交響曲をほとんど聞いた事がありませんでした。それこそ第5番と第9番ぐらいしか知らなかったと思います。CDすら一枚も持ってなく、さすがにそれではマズいと思い、初めて買ったベートーヴェンの交響曲のCDがたしかこれだったのです。今から考えるとなぜ第2番から買ったのか謎ですが(たぶんたまたまCD店にあったからでしょう)、初めて聴いたときには、良さが全く分からず眠くて眠くてしかたがなかった記憶しかありません。その後、他の番号の曲はそれなりに好きになったのですが、この演奏がトラウマになったのか、第2番だけは長い間好きになれませんでした。今では第2番はベートーヴェンの交響曲の中でも最も好きな曲の一つですから、初めて聴いた演奏がこれでなかったら、もっと早く好きになれたかもしれません。一方、この演奏も、曲を好きになって聴きなおして初めて良さがわかったのです。曲にとっても演奏にとっても、なにより自分にとってもったいない話でした。(2007/6/16)


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