L.v.ベートーヴェン 交響曲第1番 ハ長調

指揮アルトゥーロ・トスカニーニ
演奏NBC交響楽団
録音1951年12月21日
カップリングベートーヴェン 交響曲第2番
発売BMGジャパン(RCA)
CD番号BVCC-9913(74321-45620-2)


このCDを聴いた感想です。


 ベートーヴェンの交響曲第1番ってこんなに熱い曲だったのですね。
 今まで、同じベートーヴェンの交響曲でも、第5番や第7番と較べると第1番は古典的趣の強い小ぢんまりとした曲というイメージがありましたが、この演奏を聞くと、なるほど第1番も第5番などと同じ扱いをしても十分に受け止められるものだなと認識を改めさせられました。
 このトスカニーニの演奏は、とにかく熱く、力強いのです。
 高いテンションと速いテンポによってざくざく突き進み、山があろうが谷にぶつかろうが圧倒的なパワーによって一直線に乗り越えていきます。
 そのパワーはいかにもアメリカ風で、同じパワーでもロシア的な天然のバカ力のような荒っぽいものではなく、機械トレーニングによって鍛え上げたようなビシッと引き締まったもので、強さに波が無く、常に高い水準で安定しています。要は固く揺ぎ無い強さなのです。
 これは演奏しているNBC響の力も大きいのでしょう。
 それだけフルパワーで情熱を込めて演奏しているのにもかかわらず、反応が素早く、輪郭がハッキリとしています。さらに各パートとも揃いも揃って技術、力とも高く、欠点にしても強いてあげれば録音もあってか金管が若干弱い程度で、木管と特に弦はスーパースターオーケストラらしく自信持って弾き切っていて、その堂々とした音色はギラギラと眩しいほどに輝いています。
 そういう力のあるオーケストラをトスカニーニが指揮するという時点で、ほとんど反則みたいなものですが、トスカニーニはそのパワーを存分に生かし、リズムなどは引き締めて固く演奏させる一方で、メロディーでは大きく解放し伸び伸びと歌わせたりと、さらに効果を高められてしまっては、もう『まいりました』と降参するしかありません。
 こういう演奏を聴くと、トスカニーニがニューヨーク・フィルに登場した時に市民から圧倒的な支持を受けたというのも十分に納得できました。

 聴いていて一つ気付いたのですが、この演奏は、第3楽章のメヌエットで、トリオからダカーポした後の、主部の二つある繰り返しを後半だけでなく前半の繰り返しも行なっていません。
 もちろん、一般的なメヌエットを演奏する際の決まりに従えばそうなるはずなのですが、この曲のメヌエットの主部の前半の繰り返しは、交響曲第7番の第4楽章冒頭の繰り返して同じで、ダカーポした後も前半だけは繰り返す場合がほとんどです。いや、それどころか繰り返さない演奏はこのトスカニーニのが初めてだったので、ちょっとビックリしました。(2005/10/8)


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