L.v.ベートーヴェン ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調

指揮ウラディミール・ゴルシュマン
独奏ピアノ:ウィリアム・カペル
演奏NBC交響楽団
録音1946年6月24日
カップリングベートーヴェン ピアノ協奏曲第1番 他
「LUDWIG VAN BEETHOVEN PIANO CONCERTOS」の一部
発売ANDANTE(Victor)
CD番号1996-1999


このCDを聴いた感想です。


 録音時点でカペルは23歳。ただ、31歳で不幸にも事故で亡くなるため、23歳でも「若い頃」と形容できないのが悲しいところです。
 それでも音楽は年齢にふさわしく若々しさが感じられました。
 最初に印象付けられたのはキラキラと光るような輝かしい音色です。輝かしいといってもギラギラとまぶしい目に悪そうなものではなく、もっと透明感のある澄んだ輝きで、聴いていて心地よくなります。
 さらに、タッチは鋭く、音の始まりも硬くはっきりとしているため、音の分離が良く、音楽にスピードとキレが出ています。音の頭は、硬くても、力任せでガツンと乱暴にぶつけた ような濁った音ではありません。アクセントの付いた強い音も、きれいに響きの残る澄んだ音です。
 これは、動きの激しい第1・3楽章だけでなく、速い動きの少ない第2楽章でも上手く生きています。メロディーの歌わせ方は、それほど感情を込めたりせず、かなり淡々とした歌わせ方ですが、澄んだ音色によって音の出だしの細かいニュアンスが良く伝わってきて、メロディー自身が持つ美しさだけでなく、それに繊細な表情が加わっています。
 また、音色以上にテクニックで知られるだけあって、動きも鮮やかです。特にどれだけ細かい動きでも強弱や音色にムラが無いのはさすがだと思います。
 一方、伴奏ですが、NBC響らしからぬ……と書くとNBC響とトスカニーニのファンから怒られそうですが、パワーを抑えた節度ある演奏です。
 協奏曲だから当たり前といえば当たり前としても、ピアノのバックのときだけでなく、オーケストラだけになったときでもパワー全開にしたりせず、抑え目の響きというのはなんだか私のイメージするNBC響とは大きく異なっています。
 指揮がトスカニーニではなくエレガントが持ち味のゴルシュマンという違いが大きいのかもしれません。ちなみにゴルシュマンとNBC響という組み合わせはけっこう珍しく、わたしの知る限りでは、この演奏の他は、すでにNBC響からシンフォーニー・オブ・ジ・エアになってからのバーバーの作品集ぐらいしかないはずです。
 もっとも、パワーは抑え目でも、鋭さはNBC響らしく、むしろパワー抑え目の分、内にこもったのか、少しのメロディーや伴奏の一音に至るまで充実してるというか密度が高いというか、伴奏なのに妙に存在感があります。
 録音は古く当然モノラルですが、スタジオ録音ですから当時としては録音が良い方でしょう。雑音も少なくわりと聴きやすいと思います。(2008/8/23)


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