G.ビゼー 交響曲

指揮ルイ・フレモー
演奏バーミンガム市交響楽団
カップリングビゼー 組曲「ローマ」
録音1974年4月22・23日
発売東芝EMI
CD番号TOCE-3483


このCDを聴いた感想です。


 バーミンガム市響がラトルによって有名になる前、前任者のフレモーによる演奏です。
 まだ無名の頃、いや無名に近いというべきかもしれませんが、その頃のバーミンガム市響の実力はどんなものかと聴いてみると、まあ、たしかに後のラトルの頃ほどの上手さはまだありません。
 細かい動きなどは今一つ揃っていませんし、なによりムラがあります。ノッてくると集中力の高い精緻なアンサンブルになるのですが、乗り切れないと、かなりバラついています。まあ、ライブ録音のようなものですね。
 第4楽章なんかはその特徴が極端に表れています。
 冒頭から弦楽器の細かく繰り返す動きが出てきますが、これがどうもテンポに合わずギクシャクしています。縦の線も乱れがちであまり揃っていません。
 それが、曲が進むにつれ次第によくなっていき、後半、再現部で冒頭と全く同じが登場するところは、冒頭と同じ動きとは思えないほど、動きがテンポにはまって生き生きとして、しかも揃っているのです。だったら、最初からそうして欲しいものだと言いたくなってきます。
 ただ、こういう演奏なのは、フレモーが目指している方向性によるものかもしれません。
 アンサンブルの精密さよりも、雰囲気を大切にしているように感じられました。
 ラトルになってからのようなキレの良い音はまだありません。その代わり、響きは厚めで、全曲を通じて、落ち着いた優しい雰囲気があります。
 ビゼーの若い頃の作品ですが、若さを思わせるようなはつらつとした活力はあまりなく、それよりも前途に何一つ不安を感じない屈託のなさを、柔らかな明るさで表現した穏やかな演奏という印象を受けました。
 そういう音楽であれば、少々アンサンブルに乱れがあっても、動きの良さやキレで聴かせる演奏ほど、大きな欠点にはならないと思います。
 フレモーの時代は、たしかにラトルの時代に較べると技術的な完成度ではいろいろと足りない点も数多くあります。しかし、目指す音楽が大きく異なることも幸いして、フレモーの演奏には、ラトルとは別の魅力が感じられます。(2006/3/11)


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