G.ビゼー 「アルルの女」組曲

指揮アルトゥール・ロジンスキー
演奏ロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団
録音1954年10月2〜14日
カップリングビゼー 「カルメン」組曲
発売MCAビクター(Westminster)
CD番号MVCW-18004


このCDを聴いた感想です。


 ロジンスキーというと個人的にどうしても『質実剛健』というイメージが強く、それがフランス音楽という洒落た曲を演奏するとどうなるのか、というのが一番の注目点でしたが、結果は、まあ予想通りといったところでしょう。
 フランス音楽らしい色鮮やかな洒落た雰囲気とは遠く離れた固く力強い音楽になっています。
 特にフォルテの部分がそうですね。
 冒頭のような弦だけの強奏の部分では、ぴっちりと引き締まったアンサンブルで、しかもリズムをきっちりと折り目正しく演奏しているため、洒落とはまるで正反対の真面目一本槍といった感じです。軍隊が『イチニ、イチニ』と声をかけながら行進しているかのように音楽が角張っています。
 ただ、だからといってつまらないわけではありません。
 たしかにフランス音楽っぽさはほとんど無いのですが、この演奏の魅力は固く真面目なところにあるのです。
 Tシャツとスーツの違いのようなもので、音楽が背筋を伸ばしたように堂々としていて、その引き締まった高い緊張感には頼もしさが感じられます。
 いくら色彩感に乏しくても、そこまでキッチリと仕上げてあればさすがに説得力も出てくるというものです。
 最後のファランドールなんかは、これに金管が加わってきますが、この金管はかなり荒々しい音です。
 半分割れ気味のベタッとした平たい音で、弦の固く内側に引き締まった雰囲気の上から圧し掛かるように強引に入って来ており、荒っぽくではありますが内に閉じこもりがちな響きを外側にグイッと向けています。
 あまり綺麗な音とは言い難く、それまでの雰囲気が壊れるため、その音を嫌う人も多いと思いますが、わたし自身は、こういう遠慮会釈なく入ってくる金管というのは結構好きだったりします。
 そういうフォルテに較べて、ピアノの部分は真面目な雰囲気が少し裏目に出ています。
 アダージェットや第2組曲のメヌエット辺りは、表情をつけて歌い込もうとしているのは分かるのですが、慣れない事をやっているみたいに板についておらず、どうにも不自然で言いたい事はあるのに上手く言えないような感じを受けました。
 同じピアノでも、前奏曲の中間部の変奏部分や、パストラーレの中間部の太鼓が出てくる辺りなどは、テンポが速いままなのが幸いしてか、無理に歌わせようとしないのが逆に自然と寂しげな雰囲気や牧歌的なのどかな雰囲気を湧き出させていて、こちらはなかなか情感豊かでした。(2004/7/24)


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