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White Album

メーカージャンル発売時期対象年齢
Leaf
アドベンチャー
1998年5月1日
18歳以上

 このゲームの曲に一貫して感じられるのは「クール」と「孤独感」です。
 冬の寒さと大人としてお互いを尊重し干渉しない付き合いからくる「クール」さ、そしてそれ故の「孤独感」がどの曲にも感じられます。
 主人公やヒロイン達の多くが、他のゲームによくある高校生でなく、もっと大人に近づいているため、相手の気持ちを尊重するあまり、たとえ本心が気になっても、そうズケズケとは踏み込みたくない、また踏み込まれたくないという心の揺れ具合が強く表れています。
 また、このクールと孤独感は都市的とも言えるでしょう。
 曲を聴いていると、東京のような大都市の冬の夜の情景が心に浮かんできます。
 雪が降っても積もるわけではない、でも底冷えするような寒さの中で一人孤独感を感じるという雰囲気です。
 これは、同じ冬の季節のゲームである「Kanon」の曲が、舞台である田舎の雪が一杯積もった地方都市の昼を連想させるるのと好対照です。


 次に何曲かピックアップして印象を書いていきます。


 オープニングの「WHITE ALBUM」は、歌っている森川由綺を表すかのような華やかさと冬の寂しさの両方を兼ね備えています。
 大人びた印象の強い曲ですが、実はボーカルの入っている3曲の中では、子供のような天真爛漫な雰囲気が一番強く表れている曲ではないかと思います。
 これは、歌っている森川由綺の、大学生なので年齢はある程度上でしっかりしているのに、ちょっとボケてて幼い雰囲気を残しているイメージと同じです。

 挿入歌である「SOUND OF DISTNY」は緒方理奈が歌う曲ですが、理奈の芯の強さが表れているかのように、ヴォーカル入りの3曲の中で、もっともアップテンポで前に突き進む力が強い曲です。
 それ以前に3曲の中で、この「SOUND OF DISTNY」だけ全く別系統の曲です。
 「WHITE ALBUM」と「POWDER SNOW」は両曲とも、森川由綺のようなポワッとした柔らかさが感じられる曲ですが(正確には「POWDER SNOW」は森川由綺の曲ではありませんが)、「SOUND OF DISTNY」だけは緒方理奈のキリッとしたキレの良さがあります。
 さらに、理奈ルートでこの挿入歌が流れるシーン(長いイベントの方)の映像は、緒方理奈のアイドルとしての魅力に圧倒されるような気になります。わたしは、このシーンを見ていて、「ああ、緒方理奈ってやっぱりトップ・アイドルなんだな」と強く感じました。

 エンディングである「POWDER SNOW」は、ゆったりとして落ち着いた暖かい曲です。
 エンディングの曲で5分以上かかる曲というのはそうそうは無いと思うのですが、この曲はそれだけ長くても気にならないぐらい聴き応えがあります。
 それに、聴いているとゲーム中のイベントが走馬灯のように頭に浮かび、とても切ない気分になってきます。
 また、このエンディングは映像部分も印象的です。
 登場人物紹介のシーンも「…as Rival」とか「…as Pal」とか一つの単語に全てを凝縮させるセンスが中々いいのですが、それ以上にスタッフ紹介の時に表示される水彩画タッチの絵が素晴らしく、曲調と相まって淡い思い出のように心に残ります。

 森川由綺のテーマ曲である「森川由綺」は、アイドルらしくスマートな曲調と由綺らしいほんわかした雰囲気が上手く組み合わさり、クールにして暖かいという相矛盾するような要素を兼ね備えた稀な曲です。
 わたしは今までに色々なゲームの数多くのキャラクターのテーマ曲を聴きましたが、この「森川由綺」を超える曲はありませんでした。
 今までやった全てのゲームのキャラクターテーマ曲の中で最も好きな曲です。

 緒方理奈のテーマ曲である「緒方理奈」はアイドルらしい華やかさと共にどことなく淋しさが漂っています。トップアイドルとしての孤独感が表れています。

 澤倉美咲のテーマ曲である「澤倉美咲」は年上らしい落ち着いた雰囲気と美咲さんの優しい人柄が偲ばれるような暖かさがあります。

 河島はるかのテーマ曲である「河島はるか」は6人のテーマ曲の中でもっともクールなのではないでしょうか。はるかのつかみ所の無い性格とちょっと心を閉ざしている雰囲気がよく表れています。

 観月マナのテーマ曲である「観月マナ」は、マナがヒロインの中で一番年下なのに相応しく、表面上はもっとも子供っぽい曲です。しかしマナの家庭環境を象徴するかのように、どことなく暗さが混じっているため、子供っぽさの裏に冷めたマナの姿が浮かび上がってきます。

 篠塚弥生のテーマ曲である「篠塚弥生」は、ぐっと大人びた雰囲気です。冷たさとアダルトさが結びついている弥生さんそのものです。

 プロローグやクリスマスイベントの翌朝に使われている「あの頃のように」は、静かな冷たい都会の朝を連想させます。イベントでは雪が積もっているのですが、曲から受ける印象では、全く積もっていないか少なくとも歩くのには支障が無い程度の薄い積もり方です。

 クリスマスイベント時流れる「聖夜」は、クリスマスらしい華やかさはありません。夜の雪といった感じで、暗い空からはらはらと雪が舞い降りてくるのを見ているような孤独感の強い曲です。

 テレビ局の場面でよく使われる「WINTER VACATION」は、テレビ局らしいクールさと華やかさがある曲です。いかにも「業界」という感じです。

 「WHITE ALBUM PIANO」は、オープニングの「WHITE ALBUM」をピアノ曲にした曲なのですが、原曲に較べてかなり落ち着いていて、さらに暖かさが感じられます。このゆったりとした曲調はしみじみと心に染み入ります。
 このピアノはおそらくMIDIだと思うのですが、ほとんどピアノと変わらないように思えてくるぐらい自然です。(2001/8/10)

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