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※このSSは「シスタープリンセス」のパロディーです。「電撃G'sマガジン」か、「シスタープリンセス」のゲームをプレイされていないと意味不明だと思います。


勝利をつかめ!


「はあ〜……」

 私は溜息をついた。

「……マスター、どうしました?」
 メンテナンス中のメカ鈴凛が顔を上げる。
「いや、明日の事がねぇ…」
「明日の事? ……ああ、体育祭ですか」

 そう、明日は若草学園の体育祭。
 しかも、アニキが見に来てくれるらしい。
 ここは一つアニキにいいところを見せておきたいけど……正直言って運動はあんまり得意じゃない。
 というか、ハッキリ言って苦手。

 ……機械をいじってるばっかりで運動なんてしないもんなぁ。
 あ〜あ……こんなことなら、普段から少しは鍛えておけばよかった。
 これじゃ、いいところを見せるどころか、逆に印象を悪くしちゃいそうだよ……
 ちょっと後悔。

 しかも、ウチの学校には衛ちゃんがいる。
 妹の中でも、一番運動が得意だから、明日はきっとアニキにいいところ見せられるんだろうなぁ……
 同じ若草学園に通っている妹は、他には白雪ちゃんがいるけど、白雪ちゃんにはお弁当っていう大きな武器があるから、たとえ運動ができなくてもお弁当でしっかりアピールできるし……

 うーん……どうにかして明日の体育祭を何とかしないと……

「そうだ! 体育祭が無くなっちゃえば良いんだよね!」
 うん! やっぱり心配の種は、元から断ち切るのが一番よね!
「でもマスター、体育祭を無くす事なんてできるですか?」
 メンテナンスの終ったメカ鈴凛が不思議そうに訊き返してくる。
「そ、そりゃ、やろうと思えばいくらでも方法は…ある……と思うわよ」
「例えば?」
「んー……そうね、ここはやっぱり、ミサイルで学校を破壊して……」
「マスター、テロリストへの道を歩まれるのは避けた方がよろしいかと思いますが」

 うっ……

「じゃ、じゃあね、『体育祭を中止しないとコンピュータウイルスをばらまくぞ』って書いたメールを学校に送りつける……」
「そんなことするのはマスターだけですから、一発でバレますよ」

 ううっ……

「え、えーと………雨乞い装置を作って、雨が降る事を…願う……」
「はぁ……マスター、それって本当に効果があると思いますか?」
「や、やっぱり、ダメかな…えへへ」
「もうちょっと、前向きな方向で考えて方が宜しいんじゃないですか?」
「うー……だったら、前向きってどういうの?」
「そうですね……マスター、明日は何の競技に出る予定なんですか?」
「んーと……たしか、ソフトボール……だったかな?」
 うん。たしか種目を決めるとき、委員長が『鈴凛ちゃんは、あたしと一緒のソフトボールで良いよね?』って言ってたから、間違いないわ。
「だったら、打ったり守ったりする能力を高める機械を作るというのはどうですか?」
「な〜るほど、その手があったね。盲点だったわ」
 私はパチンと指を鳴らす。
「……というかマスター。普通は、体育祭を中止させるよりそっち方を先に考えつくと思うのですが……」
「い、いーじゃない! 人と変わった考えをしてこそ、発明が出来るのよ! でも、そうだよねぇ。作るんだったら、『攻・走・守』と言われるぐらいだから、打撃の機械と、走るための機械と、守備のための機械が必要ね。よし、早速つ〜くろっと」
 メカ鈴凛のメンテナンスも終った事だし、私は早速機械の製作に取り掛かった。
 

 ……そして、次の日
 

 私は、出来上がったばっかりの三つの機械を鞄に忍ばせて学校に向かった。

 ふふふ、この機械があれば、どんなに運動が苦手な私だって大活躍よ〜☆

 学校に着いて、るんるん気分で教室の扉を開けると、丁度そこには私と反対に教室から出ようとしていた委員長がいた。
「あら、おはよう鈴凛ちゃん」
「おはよう委員長。あれ? 委員長、もう着替えたんだ」
 委員長は既に体操服姿だった。
「うん。あたしピッチャーだから先に肩慣らしをしておこうと思ってね」
「へえー、気合が入ってるわね。さすが委員長。責任感があるじゃない」
「なーに言ってるのよ」
 軽く私に向かってウインクして見せた委員長は、急にマジな目になって私を見た。
「でもね鈴凛ちゃん。本当の事を言えばクラスの勝利は鈴凛ちゃんにかかっているのよ」
「えっ!? 本当?」

 やっぱり私って期待されてるの!?
 うれしい……
 私も、がんばって機械を作った甲斐があるというものね。
 わかったわ委員長。見事に期待に応えて見せるわっ!

 委員長は、ガシッと私の手を握り締めて続けた。

「鈴凛ちゃん! 頼むから後ろにボールを逸らさないでねっ! 捕って欲しいなんて大それた望みは言わないから、とにかく前に落としてねっ! 前に落とせばシングルヒットで済むんだからっ!」

 ガクッ

 私にかかってるって……そういうことなのね……

「ポジションは、鈴凛ちゃんにピッタリのライトを用意したわ」
「えーと……イチロー選手みたいに、強肩を見込んで……なんてわけないよね」
「うん。もちろん一番打球が飛んでこないのがライトだから」
 うう…やっぱし……
「よーし、それじゃクラスの勝利目指してがんばろうね!」
 なんだか妙に気合が入ってる委員長は、そう言い残して廊下へ出て行った。
 うー……こうなったら、機械の力で私の華麗な守備を存分に見せ付けてあげるんだからっ!
 他のクラスメート達も口々に声をかけてくる。
「あっ、鈴凛ちゃん。落球してもいいけど、暴投だけはしないでね」
「落球したら私もフォローに回るから、鈴凛ちゃんも安心しててね」
「うん。わたしもファーストから駆けつけるから」
 くぅー みんなの優しさが身にしみるわぁ。ちきしょー
 とほほ……私って、よっぽど信用無いのかなあ。

 試合が始まった。

 ピッチャーの委員長が投げる!
 バッターが打つ!

『カキーーーン!』

「鈴凛ちゃーーーん! 行ったわよーーーっっ!」

 わっ! もう来たの!?

 最初のバッターなのに、早くも私の方にフラフラっとフライが上がってくる。
 もう…… ライトって一番打球が飛んで来ないんじゃなかったの?
 まあ、でもこういうときこそ機械の出番ね。
 守備用の機械『ナイス・キャッチくん』でボールに照準を定めて……

『パシッ』

 ふふっ、見事にキャッチ。
 どう? 落としたりしなかったわよ?
 これでみんなも私の事を見直し……

「ま、まさか、鈴凛ちゃんがまともにキャッチできるなんて……」
「奇跡よ! 奇跡が起こったんだわっ!」
「ううっ、わたしたち、信じた甲斐があったのね……」
「そうよ。願いはいつか通じるものなのね……よよよ…」

 抱き合って感動し涙するクラスメート達……

「ちょ、ちょっと、あんたたち、何感動しているのよっ!!」
「だってねえ、鈴凛ちゃんがまともに捕れるなんて思ってもみなかったもの」
「うんうん」
 委員長の言葉に一斉に頷くクラスメート達

 あ、あんた達、友達じゃないわ……

 もう、こうなったら打つ方でも、この鈴凛ちゃんの(機械の)実力を思う存分見せ付けてやるわよ!

 一回の裏、バッターボックスに立った私は、ひそかに『なりきりくん1号』のスイッチを入れる。
 これで、体の筋肉を刺激して、プロ野球選手と同じバッティングができるというわけ。
 ピッチャーが投げたボールを、私は片足を大きく上げて引き付けて、思いっきりバットを振りぬいた。

『カキーン!』

 ボールは綺麗に内野の間を抜けていった。

 わたしは一塁ベースの上で、得意そうにベンチの方を見る。
 ふふん。これで、ようやくわたしの実力がわかったというもの……

「おかしい……鈴凛ちゃんがあんなに運動神経が良いなんて……」
「ねえねえ、もしかしてメカ鈴凛ちゃんと入れ替わってるんじゃないの……」

 バターッッッ!!

 ベース上で思いっきりズッコケル私。
「コラコラコラ、言うに事欠いて、それは無いじゃないっ!!」
「えー! だってー ねえ?」
 うんうんうんうん
 またも一斉に頷くクラスメート達。

 あ、あんた達、いつか新しい機械の実験台にしてやるわよ。

「だいたい、メカ鈴凛なら、そこにいるじゃない」
 私が、ベンチの後ろに立っているメカ鈴凛を指差すと、みんな一斉に振り返り、メカ鈴凛に駆け寄っていく。

「あっ、鈴凛ちゃん! だめじゃない。メカ鈴凛ちゃんに任せっきりにしちゃ」
「そうだよー ほら、早く一塁ベース上にいるメカ鈴凛ちゃんと代わって代わって」

「ちょっと待てーーーーっっっ!!!」

 グラウンド上に私の叫びが響き渡った。
「よーく見なさいよ! そっちには赤いぼんぼりがついているでしょ! わ・た・し・が本物の鈴凛で、そっちはメカ鈴凛!」

 ポン

 みんなして手を打つ。
「あー 言われてみればそうよねぇ」×8

 わざとだ……みんな絶対わざとだ……

「でも、そういうことなら……おーい、鈴凛ちゃ〜ん。ちょっとこっちに戻って来てー」
 委員長が、タイムをかけて、私をベンチまで呼び寄せる。
「なによー」
 ぶつぶついいながら戻ってくると、委員長は私に小声で話しかけた。
「ねえねえ、そうすると、今ヒットを打ったのも鈴凛ちゃんの実力?」
「あ、当たり前じゃない」
「……じゃあ、腰の所についている機械は?」

 ぎっくーーー!

「は…は…あはは、な、何の機械だろうねー うん」
「他のクラスの人は鈴凛ちゃんの実力を知らないだろうから気がつかないと思うけど、あたしたちの目はごまかせないわよ。その機械でパワーアップしてるんでしょ」
「や、やっぱり…わかっちゃった?」
 私は引きつった笑みを浮かべながら、上目づかいに委員長を見る。
「まったく……わからないわけないでしょ?」
 やっぱりダメかー……いい手だと思ったのになぁ。
 委員長は、辺りをキョロキョロ見回すと、ニヤッと笑った。
「……でも、幸い他のクラスにはまだバレてないみたいね」

 ……はぁ?

「よし! あたしが許すから、それで思う存分活躍して来い!」

 バシッ!!!

 ……委員長…背中が痛い……

「ふっふっふ。これでウチのクラスの優勝が見えてきたわ!」
 委員長は、不敵な笑みを浮かべながらベンチに戻っていく。

 な、なんだかなー……
 

 その後、私は実力を思う存分発揮し(そこっ! 機械の実力というツッコミは入れないよーに)、ついにソフトボールの部で優勝した。
「よくやってくれたわ。鈴凛ちゃん」
 委員長が嬉しそうに駆け寄ってくる。
「どう? 私の実力は?」
「実力って言ったって、機械の実力でしょうに……まあ、いいわ。この調子で最後のリレーも頼むわよ」
「へっ? リレーって?」

 リレーは一番最後の競技で体育祭の華。だから、どのクラスも選りすぐりのメンバーを揃えてくる。もちろん運動が苦手な私は選手でも何でもない。
 ……ちなみに、委員長は選手だ。

「だって、今の機械をつけていれば鈴凛ちゃんは無敵じゃない。だったらリレーに出てもらわない手は無いわよ」
「えっ? でも、メンバーって、もう決まってるじゃない」
「だいじょーぶだいじょーぶ。あたしが怪我をした事にでもすりゃいーじゃない」

 こ、この女は……

「それじゃ、あたしは早速メンバー交代を連絡してくるからね」

 たったったった……
 本部に向かって走っていく委員長。

 こらこらこら、建前上は怪我という事でしょうが。
 

 なんだかんだで、私はリレーのメンバーになってしまい、スタート地点へと歩いていた。
「あれっ? 鈴凛ちゃんじゃない。もしかして鈴凛ちゃんも走るの?」
 後ろからの声に振り向くと、衛ちゃんがスポーツタオル片手に立っていた。
「う、うん。そうだよ」
「あれっ? でも鈴凛ちゃんって、足速かったっけ?」
 衛ちゃんは不思議そうに首を捻った。

 し、しまった! 衛ちゃんは私が運動が苦手な事を知ってるんだった!

「そ、それは…その…なんて言うか…」
 私が言葉を濁していると、衛ちゃんは急に納得したように手を打った。
「あっ……ゴメン。ボクが悪かったよ」
「……は?」
「このリレーでボクのクラスには勝てないことが分かったから、もう誰を選手に出しても同じだと思ったんだね」
「いや……別にそういう訳では……」
「ううん。みなまで言わなくてもいいよ。ボクにはわかってるから」
「あのー…だから違うと……聞いてる? 衛ちゃん」
「でもねっ!!」

 ガシッ!

「わっ!? なに!?」
 急に私の肩をつかんで目をじっとみるからびっくりしちゃった。
「人間あきらめたら終わりなんだよっ! いくら鈴凛ちゃんの足が遅くたって、たとえ一位になるのが絶望的な状況でも、万分の一の勝利の可能性を目指して全力を尽くさなきゃダメなんだよっ!! ボクは違うクラスだけど、心の中では鈴凛ちゃんの事応援してるからねっっ!! じゃ、お互いがんばろうね☆」
 そう言って衛ちゃんは自分のクラスの方へ戻っていった。
 …………
 ……ム、ムカツク
 これが勝者の余裕って奴? 随分好き放題言ってくれたわね。
 くっ!……衛ちゃん覚えてなさいよっっ!!
 

 私は衛ちゃんの走る順番を確かめた。

 ふふっ、都合よく私と一緒の第一走者ね。

 私は高速走行用シューズ『走れ走れくん2号』のリミッターを解除して出力を最大まで出せるようにする。

 ぬふふふ。衛ちゃん首を洗って待ってなさいよ。目に物を見せてあげるわ。

 調整を終えて立ち上がったとき、委員長がやってきた。
「鈴凛ちゃん、調子はど……わっ!?」
 なによ委員長。私の顔を見て驚くとは失礼ね。
「な、なんだか目が逝っちゃってるんだけど……だ、大丈夫?」
「くふふふふ……だ〜いじょうぶよ。こうなったら日本記録でも出してクラスを優勝に導いてあげるわよ……くくく」
「いや、あのー……あんまり凄いタイムだと疑われちゃうんで、そこそこで良いんだけど……」
「ま〜かせなさいって、上手くヤるわよ。そう上手く……ふふ、うふふふ……」
「……ホントに大丈夫かなー……ま、まあ信頼してるから、よろしく頼むわ。がんばってね」
 何故か怯えながら去って行く委員長。

 うふふふ、ありがとう委員長。あなたの信頼に応えて……世界記録を狙っちゃおうかしら。うふふふふ

 スタート位置について横目で衛ちゃんの方を見ると、衛ちゃんはニッコリ笑って私の方を見返した。
 むふふ……笑っていられるのも今のうちよ。
 その顔が、驚く顔に変わるのが目に浮かぶわ。

 ふと目を移して、コース脇の観客席を見ると……

 あっ! あれはアニキ!

 観客の後ろにアニキがいる。
 やっぱり私の雄姿を見に来てくれたのね。
 アニキ! 私の実力を見ていてね!
 きっと、1位でバトンを渡して、かっこいいところを見せてあげるわ!
 そうすれば、アニキも私が一番の妹だってわかってくれるよね!
 そして、私に援助をいっぱ………ん?

 よく見ると、アニキの隣に大きなリボンが見え隠れしている。

 あの見覚えのある黒いリボンは………白雪ちゃんっ!!

 じぃっと目をこらして見ると、白雪ちゃんは手にお弁当を持ってて、白雪ちゃんは箸でおかずを一切れとって、アニキに『あーん』って持っていって……アニキ! 何、口を開けてるの! あっ、あっ、おかずを口に入れてもらってる! もう! アニキったら鼻の下伸ばしちゃって、私が走るところちゃんと……

『パーン!』

 えっ!?

「鈴凛ちゃんっ!! スタートよっ! スターートっっ!!」
 委員長の金切り声に、ふと我に返ると、他の走者はとっくにダッシュしている。
 ……あれ? 私、もしかして出遅れちゃった?
 ま、まあ、でもこれぐらいハンデとして丁度いいわ。
 ちょっと遅れてスタートした方が、より格好良さが引き立つってものよね。
 さあー 行くわよっ!!
 私は、『走れ走れくん2号』のパワーをどんどん上げて行く。
 速いっ! 速いっ!
 前を走っているランナーを次々と抜いて行く。
 先頭を走っているのは思ったとおり衛ちゃんだ。
 さあ、一気に抜くわよっ!
 私はさらにパワーを上げる。
 衛ちゃんを抜いた瞬間、周りがだんだん白くなって視界が狭まっていった。
 はっ!? ……も、もしかして、これが神の領域!?
 アニキ! 私、ついに神の領域に足を踏み入れたんだね!
 ドキドキ。これからどうなるのか、しっかりと私の目に焼き付け……

「あーーっっ!! 鈴凛ちゃんの足元から凄い勢いで煙が吹き出てるっ!!」

 うるさいわね委員長。叫び声を上げたりしないでよ。私は今、神の領域にいるんだから煙ぐらい………ん? 煙?

『ボーーンッッッ!!!』

 大音響ともに、足に凄い衝撃を受け、私はその場でぶっ倒れた。
 し、しまった……ちょっとパワーを……上げすぎた……みたい………
 そのまま私の意識は闇の中へ落ちていった。

「……凛!」

 ……う…うーん…

「鈴凛! しっかりしろ」
 えっ!? この声は……アニキ!?
 私がゆっくりと目を開けると、目の前にアニキの心配そうな顔があった。
 あれ……もしかして、私、アニキに抱き起こされてるの?
 背中にアニキの腕を感じる。
 とっても暖かい。
「よかった……鈴凛、気がついたんだ」
 アニキは安心したようにニッコリと微笑んだ。
「う、うん……心配かけてごめんなさい…」
「とりあえず怪我が無くて良かったよ。もう大丈夫かい?」
「うん……大丈夫だと思う。アニキ…心配してくれてありがとうね……」
「なに言ってるんだ。当たり前じゃないか。大事な大事な鈴凛だからな」
 やだ……なんだか幸せ。
「ほら、みんなも鈴凛が気がつくのを待ってたんだよ」
 みんなも私の事をそんなに心配していてくれたんだ。嬉しい……
 私は立ち上がってみんなの方に感謝の笑顔を向ける。
「みんな! 私の事を心配してくれて、ありが………あれ?」

 な〜んか、みんな、私を凄い顔で睨んでいる。
 心配してくれていた……ようには、とても見えないわね。

「鈴凛ちゃんがボクより速いなんて変だと思ったよ。機械を使ってズルをするなんてヒドイよ! せっかくボクは応援してたのに! ボクの気持ちを裏切ったんだねっ!!」
 と衛ちゃん。
「鈴凛ちゃん! よくも姫とにいさまのお弁当タイムを邪魔してくれましたわね!」
 と白雪ちゃん。
「鈴凛君。機械の力を借りて勝ってもしょうがないだろ。罰として校長室掃除一ヶ月!」
 ああっ! 先生まで!

 最後にやってきたのは委員長だった。
 気のせいか、他の人よりも更に怒りに燃えているような気が……
 や、やっぱり、リレーを無茶苦茶にしちゃったせいかなぁ……

 ガシッ!

 委員長が両手で私の肩を掴んで真っ直ぐ私を見る。

「鈴凛ちゃんっっ!!」
「は、はひぃぃっっ!!」

 目がっ! 目がっ! 怖いよぉ!

「あたし、どこのクラスが優勝するかのトトカルチョで自分のクラスを買っておいたのよっっ!! それが全部パーになっちゃったじゃないっ!! 一ヶ月分のお小遣いを全部つぎ込んだのよっ!! どーしてくれるのっっっ!!!」
「…委員長……それって、逆恨み……」
「えーい! うるさいうるさいうるさい! もう、あんたなんかこうよっ!!」
 そのまま、激しく前後に揺さぶる

 カックンカックンカックン

 あうっ。く、首が! 首がっ!

 またしても気が遠くなっていく。

 ううっ、こんな目に遭うのなら、やっぱり体育祭を無くす方法を考えるべきだったわ……

 私は薄れ行く意識の中でそう反省するのだった。
 

 〜おわり〜


あとがき
この話はシスプリパラダイスさんに投稿した話です。

 え〜と……鈴凛のアニキのみなさんゴメンナサイ。
 このSSでは、話の都合上鈴凛には運動神経が無い事になっていますが、実際のところ公式には鈴凛の運動神経について書かれた資料は無かったと思います。
 また、文中に出てくる委員長は、わたしが勝手に登場させただけで、特に公式の何かに登場しているわけではありません。
 本当は、キャラコレに登場する小森さんでいきたかったのですが、わたしが出したかったキャラクターの性格とあまりに違うので、断念しました。
 でも、次に鈴凛の話を書くときには、ぜひ出したいものです。
 
2001年11月17日発表

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