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※このSSは「シスタープリンセス」のパロディーです。「電撃G'sマガジン」か、「シスタープリンセス」のゲームをプレイされていないと意味不明だと思います。



※警告:このSSは鞠絵の兄上様やキャラクターを純粋に愛してらっしゃる方は読まれない方が、良いと思います。
     エエ話ぶち壊しでも許せる心の広い方のみ、読んで頂けますようお願い申し上げます。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

鞠絵の手紙


 おやっ?
 
 鞠絵から手紙が来ている。
 
 一昨日、今度の日曜日には病院にお見舞いに行くってメールしといたのになぁ。
 
 鞠絵、待ちきれなくなったかな?
 
 ……えーと、どれどれ
 
 ガサガサガサ……
 
『拝啓 親愛なる兄上様
 
 今日、兄上様から今度の日曜日にはこちらに来てくださるとのメールを頂き、嬉しさのあまり思わず手紙を書いてしまいました。
 また、日曜日にすぐ会えるというのに待ちきれないなんて、ふふふ……わたくしって悪い子ですね…』
 
 ははは、まったく鞠絵ったらしょうがないなぁ
 
『……そういえば、一昨日は映画鑑賞会があったんですよ。
 ここは高原で街からは遠いですし、外には出られない患者さんもいますから、たまに会議室で映写会をやってくれることがあるんです。
 もちろん、会議室ですから街の映画館のような迫力のあるスクリーンや大音響のスピーカーなんて望めませんし、みんな一度にはとても見られません。
 それに、上映する映画だって病院として当り障りのないタイトルばかりですし……
 でも、映画なんてめったに見る機会がありませんから、どの患者さんも楽しみにしていて、いつも割り当てられた日を待ち望んでいるんですよ。
 今回は、わたくしも見ることができました。
 ちょっと前に一度見ることができたのに、また見られるなんて……うふふ、幸運でしたね。
 映画のタイトルはたしか……『大霊○』といって、監督は丹○哲郎という人だったと思います。
 それでどんな映画かといいますと……
 
『この世とあの世は地続きだ』
『死は恐れるに足らん』
 
 …といった内容だったような気が……
 …………
 ………
 ……
 …
 よーく思い出しますと、あの映画を見ていたのは、わたくし以外は、なぜか寝たきりの患者さんばっかりでした……
 ………
 ……
 …
 ……はっ!? もしかして、わたくしって相当あぶないのでは?
 
 ………
 
 ……どうやら、深く考えない方が良さそうですね………
 
 …………………
 
 
 ……そうそう、兄上様、ご存知ですか?
 実はこの療養所、小さな図書館まであるんですよ。
 わたしも、よくそこからご本をお借りしてるんです。
 ……でも、残念な事に、兄上様が通ってらっしゃる普通の学校にあるような図書館と違って、あんまりご本の種類が多くないんです。
 やっぱり、あくまでも療養がメインで、図書館はおまけですからしょうがないんですけど……
 兄上様は、わたしの好きな小説のジャンルってご存知ですよね。
 そう、恋愛小説です。
 でも、この図書館には恋愛小説ってほとんど置いてないんですよ。
 置いてあるのは、ちっちゃな子供向けの絵本か……
 
 『フランス書院』とか『ナポレオン文庫』
 
 とかそういうジャンルばっかりなんです。
 わたくしも密かに持ち帰って………いえいえ、そんな、とてもとても人前でなんて読めませんわ。きゃ☆
 あぁ、兄上様なら、きっと電車の中ででも堂々とお読みになるんでしょうね……素敵です。兄上様☆
 あらっ、いけませんわね。わたくしったら、ついつい自分の世界に入っちゃいましたわ。てへっ♪
 
 でも、そんなわたくしを哀れに思ったのでしょう。
 なんと、2階に入院しておられるおじいさんが、
『ほっほっほ。鞠絵ちゃんはご本が好きで感心だねぇ。どれ、わしの持ってる本の中でも飛びっ切りの一冊を貸してやろう』って、おっしゃってくれたのです!
 その本は、ちょっと古びてましたけど、おじいさんは本当に大事に大事にされてたのでしょう。
 何度も読み返した跡はありますが、ほとんど傷んでいませんでした。
 そう、題名は……
 
『國家改造案原理大綱』
 
 だったと思います。
 えっ!? なぜあやふやなのかって?
 ……実は、最初のページを読もうとしたとこで、看護婦さんに取り上げれてしまったんです。
 辛うじて最初の一行の
 
『まず帝國憲法を停止して……』
 
 という部分は読めたのですが……
 でも、看護婦さんはなぜかとても怒ってます。
 …いつもはとても優しいのに…
 そして、わたしがその本をおじいさんからお借りした事を聞きだすと、本を片手に大股で部屋を出て行ってしまいました。
 わたくしはおじいさんのところに行くんだなってすぐわかったので、後を追いかけました。
 おじいさんの病室の前まで来ると、中から看護婦さんの怒った声とおじいさんの弁解が聞こえてきます。
『……おじいさんがこの本を読まれるのは勝手ですが、鞠絵ちゃんにまで薦めたりしないで下さいっ!』
『そうは言ってものう、最近は婦女子だからといってちゃんとした知識を身に付けないわけには…』
『そういう問題じゃありませんっ!!』
『じゃが、銃後の守りを固めるには正しい思想から…』
『絶対にダメですっ!!』
『……しかたあるまい、では代わりに「わが闘争」「戦争史大観」を……』
『一緒ですっ!!!』
『う〜む……であれば…』
『はあ〜 もういいです』
看護婦さんはため息一つついて、病室から出るところでわたくしに気がつきました。
『あらっ? 鞠絵ちゃん。ついてきちゃったのね』
『あっ……ご、ごめんなさい…』
『ふふっ、いいのよ。べつにあやまらなくても。そうだっ! わたしが鞠絵ちゃんに、こういう危ない本じゃないマトモなご本を貸してあげるわね』
そういって、看護婦さんはやさしくわたくしの手を取ると、看護婦さんたちの詰め所に連れて行ってくれました。
『…えーと、たしかこの辺に……』
看護婦さんはしばらくロッカーをゴソゴソやっていたと思うと、
『あっ、あったあった。やっぱり女の子はこういう本がいいわよね。はいっ、鞠絵ちゃん』
 そう言いながら、看護婦さんがわたくしに手渡してくれたのは……
 
『日○小次郎×若○津健』『紫○×星○』……
 
『やっぱり、女の子はや○い本よね♪』
 
 ……その感覚は分かります……はっ!? そうじゃなくて……
 
『……あの、この本は何が元になっているのでしょうか?』
『もちろん。「キャプ○ン翼」と「聖闘○星也」よ♪ あらっ? 鞠絵ちゃん、小○郎×健の組み合わせはあんまり好みじゃなかったかしら? やっぱり、王道の翼×岬の本の方が良かった? それとも意表をついて健×小○郎かな?』
『……というか、看護婦さん。そのネタ古すぎます。歳がバレますよ』
 
 バキッ!!
 
 ……思いっきりドツかれてしまいました。
 正直な感想を口にしただけなのに、失礼しちゃいますわね。まったく。
 ……まあ、ご本のほうはちゃんとお借りできたからいいんですが。
 あっ、も、もちろん、これはあくまでも幅広い知識を身に付けるための一環ですよ。
 そんな、間違えても、今後のネタ作りの参考にしたい、とか、プロットの作り方の勉強、とか、キャラクターの書き方とかの参考にしたいわけじゃないんですよ! 信じてください〜! 兄上様〜〜〜!!
 
 
 ……そ、そうだ、一昨日は、ミカエルが子供を連れてきてたんですよ。
 ちっちゃくて、とっても可愛いんです。今度の日曜には兄上様もぜひ見てみてくださいね。きっと気に入って頂けると思います。
 ……それにしても、わたくしがこんなに病院に入ったきりになってるというのに、ミカエルは他所で仲良くやってたんですね。
 わたくしは兄上様と自由に会うこともままならない身の上なのに……
 
 ミカエルったら……なんて生意気なんでしょう☆
 
 わたくしはお祝いにミカエルの頭を両拳で挟んでグリグリってやってあげました☆
 そしたら、ミカエルは『キャイン! キャインッ!』て鳴いて、と〜っても喜んでくれたんですよ。
 それからというもの、ミカエルはなぜか怯えるような目つきで、決してわたくしの側に近寄ろうとしませんの。
 もうっ☆ 恥かしがりやさんなんだから♪
 
 
 ところで、昨日はとなりの病室のひばりちゃんが退院しました。
 もちろん、退院は喜ばしい事なんですが、なんだかわたくしだけが取り残されたみたいで少し淋しいです。
 わたくしとひばりちゃんはこの病院で一番の仲良しだったんですよ。
 年が近い子もいなかったので、いっつも二人で遊んでたんです。
 もちろん、病院内でできる遊びなんて限られてますけど。
 そうですねぇ……おままごとなんてよくやりましたわ。
 ふふっ、兄上様、『おままごとなんて幼稚だなぁ』なんて笑わないでくださいね。
 わたくしたち二人にとっては貴重な遊びだったんですから。
 もちろん、おままごといっても、そのままではつまらないですから、いろいろ工夫を凝らしましたよ。
 例えば……
 
『姑と鬼嫁』ごっことか☆
 
 あっ、もちろんわたくしは慎ましやかですから、甘んじて鬼嫁の役になりましたわ。
 ひばりちゃんたら謙虚で、『わ、わたしが鬼嫁の役やるよ〜』って言ってくれたんですけど、大事な友達に『鬼』がつく役なんてやらせるわけにはいきませんよね。
 おままごとが始まってからは、ひばりちゃんったら、役になりきって迫真の演技でしたわ。
 特に苛められて泣くところなんか、もう、アカデミー賞ものの演技で、ぜひ兄上様にもお見せしたかったですわ☆
 
 こんなに仲良しでしたから、ひばりちゃんが退院するときいて、わたくしはショックでした。
 わたくしより先に退院するなんて許せな………ゴホゴホ、淋しくて……うらやましかった。
 だから……少しでも退院を先延ばしにさせるため、夜中にナースセンターに忍び込んでカルテを改竄したり、飲み薬をすり替えたりしても、誰もわたくしのことを責められませんよね。
 その間、ひばりちゃんは、お顔が紫色になったり、泡を吹いて倒れたり、血を吐いたりしてましたけど、わたくしのやったこととは何の関係ありませんよね♪
 最後に病院の玄関で別れるとき、わたくしは淋しかったけど、笑顔で送り出してあげたんです。
 ひばりちゃんも、満面の笑顔でさよならしてくれましたけど、きっと、心の中では、わたくしとお別れするのが淋しかったんだと思いますわ。
 でも、残されるわたくしの気持ちを考えて、暗いお別れにならないように、わざと明るくふるまってくれたのにちがいありませんわ。
 でも、それにしては玄関前からタクシーに乗るとき、妙にいそいそと乗り込んでいったのは、何故でしょうね?
 
 
 今度の日曜日には兄上様が来られる…
 そう考えただけで、わたくしドキドキしてしまいます。
 おまけにちょっとお顔まで赤くなっちゃって……きゃ、恥かしい☆
 そんなわたしが、後でお熱を計ったら40℃超えていたのは………秘密です。
 でも、今回は心臓が2回停止しただけですから、たいしたことありませんわ。
 ちょっと意識が無くなって、気がついたら大きな川の側のお花畑にいて、いつの間にか川渡しの行列に並んでて、いざ渡し船に乗り込もうとしたら、お金が払えなくて追い返されただけなんですから。
 それにしても、渡し賃ぐらい、見逃してくれたっていいと思いませんか? こんな可愛い少女が必死にお願いしてるんですから。ねぇ、兄上様?
 
 それはともかく、せっかく兄上様がいらっしゃるのですから、何もない療養所とはいえ、何かおもてなしをしたいところです。
 そこで、恥かしいですけど、わたくしの手料理をご馳走しちゃいます☆
 でも、こんなところだと、材料を揃えられるかちょっと不安です。
 そうだ! ここは高原だし、お外にはきっと山菜とかがありますわよね。
 というわけで、わたくしは病室をそっと抜け出して、森の方へ行ってみました。
 ……といっても、山菜なんてなかなかみつかりません。
 あっ!
 山菜はありませんでしたが、代わりにキノコをみつけちゃいました☆
 ……でも、キノコってたしか毒のあるのと無いのがありましたっけ……
 でも、ご安心下さい。
 そんなこともあろうかと、わたくしちゃーんとキノコ図鑑を持ってきてたんですよ。
 えーと、まずこれは……
 
『ワライタケ』
 
 ……毒って書いてありますけど、なんだかハッピーになれそうだから大丈夫ですよね。
 
 えーと、次は…
 
『ベニテングタケ』
 
 ……毒って書いてありますけど、この派手な色が可愛いから大丈夫ですよね。
 
 えーと、最後が……
 
『セイカクハンテンタケ』
 
 …………あれっ? このページだけ破れてて、説明文の後ろ半分が読めませんわ。
 まあ、最初に「毒ではない」と書いてありますから、たぶん大丈夫でしょう。
 
 …………
 
 ……まあ、食べるのは兄上様ですから何があっても問題ないですわね。
 
 …………わたくしは、絶対食べないようにしておきましょう…
 
 ああっ、兄上様。
 わたくし、兄上様が来られる日曜日を心待ちにしておりますわ。
 朝から『キノコリゾット』をお作りして、お待ち申し上げます。
 それではご機嫌よう。
                            かしこ
 
 親愛なる兄上様に
                          鞠絵より』
 
 …………
 ………  ……
 …
 ぶるぶるぶる……
 ………  俺は、その夜誰にも知られないようにそっと家を出た。
 遠くへ、できるだけ遠くへ逃げるつもりだ……
 
 ううっ、鞠絵、許してくれ……
 俺はまだ死にたくないんだぁーーーーーっっっ!!!
 
 〜おわり〜
 
あとがき
この話は鞠絵のBD記念SSということでシスプリパラダイスさんに投稿した話です………が、ごめんなさーーーーーい!!!
悪気があった訳じゃないんですよ! ホントですよ! しんじてくださーーーいっ!!!
ですから、剃刀メールとかは勘弁してくださいね。お願いします。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
※『フランス書院』・『ナポレオン文庫』
官能小説のシリーズの一つです。
 
※『國家改造案原理大綱』
戦前最大のクーデターといわれる「2.26事件」を起こした青年将校たちのバイブルとまで言われた理論書。
内容は……危険すぎて、とてもここには書けましぇ〜ん。
著者の北一輝は、事件の精神的指導者としての責任を問われ、死刑。
 
※『わが闘争』
言わずと知れたヒトラーが書いた、ドイツ第三帝国の精神的指導書。
内容は……これもとてもここには書けないような内容なのですが、まあ人種差別バリバリの本であるのは確かです。
 
※『戦争史大観』
満州事変のプランナーでもある石原莞爾の講演集を本人がまとめた著作。
内容は、将来の戦争の方向性について他。
とりあえず、出版された途端、即発禁処分をくらう。
 
※『キャプテン翼』・『聖闘士星也』
80年代に「週刊少年ジャンプ」で連載されていた人気漫画。
当時、大きなお姉さんには大人気だった……らしい…
 
※『セイカクハンテンタケ』
1996年に発売された『痕』というゲームに出てくるアイテム。食べた者の性格が一時的に反転する。
2001年5月発表
2001年8月6日改訂

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