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※このSSは「シスタープリンセス」のパロディーです。「電撃G'sマガジン」か、「シスタープリンセス」のゲームをプレイされていないと意味不明だと思います。


対決! 兄 対 亞里亞(のじいや)


 キンコーン、キンコーン、キンコーン……
 
 授業終了のチャイムが鳴り響き、生徒たちが昇降口からゾロゾロと出てくる。
 俺は、その前で待っていた。
 
 ……出て来た!
 
「……あ、兄や…」
「亞里亞待ってたぜ」
 
 亞里亞は俺を見つけてパッと明るい表情になった。
 
「今日こそは一緒に帰ろうな」
 俺はやさしく声をかけ、手を引いた。
「…はい、亞里亞うれしいです。」
 一人でいるときは、心なしか不安そうにしているが、俺が手を握ってやると、とても安心するようだ。
 
 さて……
 
 他の生徒たちが三々五々校門に向かうのを見ながら俺は考えた。
 
 このまま校門に向かうのはマズイ………
 
 校門にはきっと………ヤツがいる……
 
 俺が亞里亞と一緒に帰ろうとするのを、何度ヤツに邪魔されたか……
 
 俺は素早くあたりを見回すと、亞里亞の手を引いたまま校門と反対側に向かう。
 
「…兄や、どうしたの?」
 校門に向かうのだとばっかり思ってた亞里亞が俺を見上げて訊ねる。
「いや、たまには裏門から出てみるのもおもしろいかな〜ってね」
 亞里亞は不思議そうに首をかしげたが、すぐに嬉しそうにうなずいた。
 
 校舎をぐるりとまわり裏門に向かう。
 裏門から帰ってゆく生徒もいるが、やはり校門に較べるとずっと少ない。
 
 俺と亞里亞は下校する生徒に混じって裏門を通り過ぎた……瞬間。
 
 ヤツがいた……
 
「亞里亞お嬢様。お迎えに上がりました」
「……じいや…」
 
 スーツをビシッと着込んだ、妙に筋肉質の背の高い初老の男性が待ち構えていた。
 そして横にはリムジン。
 そう、亞里亞の家の執事である。
 
「……出やがったな、じじい……」
 俺は、亞里亞の手をそっと離して身構える。
 
 じじいは、初めて俺に気付いたかのように、ギロッと俺を睨み……

「喝っっーーーーーーーっ!!!」

 うっ!…… 思わず数歩下がる。
 
 一方、亞里亞はというと……意外と驚いていない。
 不思議に思ったので、いつだったか訊いてみたら、
「今は慣れました」ということらしい。
 泣き虫の亞里亞が、よくまあ慣れたもんだと思うが、たしかに驚いた様子は見せていない。
 
「ささっ、亞里亞お嬢様。どうぞお車の方へ」
「ちょ、ちょっと待てーーーーっっっ!!」
 
 俺の事をきっちり無視し、さっさと亞里亞をリムジンの方へ案内しようとするじじいに、あわてて声を上げる。
 
「亞里亞は俺と帰る約束をしてたんだぜ」
 じじいは俺を一瞥するや
「なんだ、まだおったのか」
 と憎まれ口をたたく。
「何をいってやがるじじいっ!!」
「……じじいだと? 喝っっっーーーーーーーーっ!!!
 ズズ……
 知らず知らずのうちに後ろに下がってしまう。
「じじいではなぁーーーーいっっ!!! セバスチャンと呼べっ!!」
「セ、セバスチャン!? 一体どこがセバスチャンだよ」
 その執事は、どこからどーみても日本人以外なにものでもない。
「何を言う! この『セバスチャン』という名前は奥様より頂いた『愛のニックネーム』じゃーーーっっっ!!」
「あ、愛のニックネーム……」
 胸を張るじじいに俺は思わずくらっとくる。
「も、もしかして、じじい…」
「セバスチャン」
「ちょ、ちょっとその名で呼ぶのは…」
「セバスチャン」
「…………」
「セバスチャン」
「……セ、セバスチャン。あんたもしかして、本名は『長瀬源一郎』とかいうんじゃ…」
「あ〜、何を言ってるんだ。わしの本名は『崇一郎』だぞ」
 う〜む、違ったか…
「とにかく、亞里亞は、今日は俺と一緒に帰るといってくれたんだぞ!」
「貴様のようなやつと、亞里亞お嬢様を一緒に帰すわけにいかぬ!」
 その言葉を聞いて、俺は改めて身構える。
「やはり、力づくで奪い取るしかないな」
「くるか? 小僧」
「くぅーーーっ! 俺の方こそ小僧じゃねぇっ! ちゃんと名前で呼べっ!!」
「ふっ、わしの相手にならんやつは小僧で充分じゃ」
 そう言って、馬鹿にしたように鼻で笑うセバスチャン。
「くそっ! やってやるぜっっ!!」
 俺がセバスチャンに向かって掴みかかっていった瞬間…
「戦後日本の無法地帯を恐怖に叩き込んだ拳でございます!」
 
バキッ、グシャ、ゴギョ、メキャ、ボキュ……(以下、あまりの残虐シーンが続くため、青少年の情操教育への影響を考えて、涙を呑んでカットさせて頂きます)
 
「ささっ、亞里亞お嬢様。どうぞお車のほうへ」
「……兄や…」
 
 ガチャ。
 バタン。
 スーーーー………
 
 亞里亞を乗せた車は、何事もなかったかのように走り去って行き、
 後には、完膚までなきに打ち負かされた俺が残されただけだった。
 
 ヒューーーーーーーー
 
 くうっ、敗者の俺には風の冷たさ身にしみるぜ…
 
「……おにいたま」
 ふいに声をかけられ顔を上げると、裏門の陰から、雛子が心配そうな面持ちでこちらを見てる。
「…おにいたま、だいじょうぶ?」
 倒れてる俺のところへ駆けてくる雛子。
「は、ははは、これぐらいのキズ、たいしたことないよ…」
 雛子に心配をかけないよう、できるだけ明るい声で答える。
「おにいたま……また、やられちゃったんだね…」
 
 グサッ!!
 
 雛子の無邪気な一言にトドメをさされる俺。
 
「ねえねえ、ヒナ、うーんうーんって考えたんだけど」
 雛子は急に明るくなって、俺を揺さぶる。
 ……すいません。雛子さん。傷口が擦れて、痛み200%増なんですけど…
「セバスチャンさんをエイヤってやっつけるには、やっぱりとっくんしかないと思うの」
 ……とっくん? ああ、特訓か。
「あのね、あのね。いーっぱい、いーっぱい、がんばったら、きっとだいじょうぶだよ。ねっ、ねっ」
 俺の襟を持って上下に揺らす雛子
 
 ガックンガックン……
 
 ま、待て、そんなに揺らされたら首が……
「わーい、おにいたま。ウンってしてくれたってことはOKってことだよね!」
 ……あ……だんだん意識が……
 
 
 
「で、雛子。このロープは何かな…」
 日時と場所はコロリと変わって、特訓場所その一。
 
 断崖絶壁の上である。
 
「えっとねー、ヒナがみたテレビでね、ロープで足をしばって、エイって崖からジャンプする特訓っていうのをやってたの」
「お兄ちゃま。がんばって!」
 なぜか、花穂までいっしょに来ている。
 ご丁寧にポンポンまで持って。
「あ、あのなあ雛子。ちょっとこの絶壁からバンジージャンプはつらいと思うぞ」
「ぐすっ…せ、せっかく、ヒナ、おにいたまのためにいっしょうけんめい考えたのに……」
 うっ……
 いまにも泣きだしそうな雛子。
「ま、まあ、せっかく雛子が用意してくれたんだからな。ちょっと試してみるか」
「わーい、やっぱりおにいたまダーイ好き」
 さっきの泣き顔から一転して笑顔になる。
 よしっ、雛子のためにもがんばるぞっ!
 ……なーんか騙されたような気がするのは気のせい……だよな?…
 
「……とはいえ、こうやって立ってみると、ちょっと…な……」
 覚悟を決めて、足を縛って断崖の上に立ったが、いざ下を見ると、さすがに身震いがしてくる。
 下の方に、かなり広い幅の川が流れているのだが、上から見ると川幅が5cmぐらいにしかみえない。
「わーい☆ おにいたま。エイってとんでね」
「お兄ちゃまならきっとだいじょうぶ! 花穂、自信あるもん」
 ……花穂、その自信はどっから出てきたんだ
「おにいたま。はやくっ♪ はやくっ♪」
「しかしなあ、これはそう簡単には…」
 妹二人の声援は嬉しいが、いざ踏み出すとなると、どうしても足が前に進まない。
「えーい! ちゃっちゃと行って、おにいたまっ!」
 
 ゲシッ!
 
「あ〜〜〜〜れ〜〜〜〜〜〜……」
 
 雛子に蹴り出されて、俺の体は、自分の意志と関係なく空中に踊り出ていた。
 
 ヒューーーーーーーーーーー………
 
 積み上げてあったロープの山が、どんどん低くなっていく。
 
「うわ〜っ、ピューって、まるで鳥さんみたい!」
「うん。すごいすごい! お兄ちゃまの体がだんだん小さくなってくよっ!」
「すっごく、楽しそう。いいなーおにいたま」
「ねえ、ヒナちゃん」
「なあに、花穂たま」
「お兄ちゃまの足を縛ってるロープの反対側って、どこに結んであるの?」
「結ぶって? どこかに結んでなきゃいけないの?」
 不思議そうに首をかしげる雛子。
 花穂が驚いてロープの山を見ると…
 ロープの反対側の端が、ちょうど崖下に消えていくところだった……
 
「お、お兄ちゃまっっ!!」
 あわてて花穂が断崖から下を覗き込む。
 
「そんなのありかぁぁぁぁーーーーーーーーーーっっっっ!!!!」
 谷間にこだまする俺の叫び声。
 
 ヒューーーーーーーーーーーー……ポチャン
 
 花穂の目に映ったのは、遥か下のほうに見える川に起こった小さな水柱だけだった。
 
「……………………………………………………」
「……………………………………………………」
「ほ、ほら、お兄ちゃま丈夫だから」
「う、うん。おにいたまだからきっとピンピンしてるよね」
「えへ、へへへへへへへへへ……」
「は、ははははははははは……」
 二人の乾いた笑い声が山の澄み切った空気の中に空々しく響き渡った……
 




……5時間経過
 
……ヨロ……ヨロヨロヨロ……
 
「あっ、おにいたまおっかえり〜♪」
「早かったね、お兄ちゃま☆」
「…………言うべきことはそれだけか」
 既に、俺はボロボロである。
「わっ、おにいたまだいじょうぶ?」
「花穂、すっごく心配したんだよっ!」
 思い出したように俺の方に駆けよってくる二人。
「今さら、遅いわぁぁーーーーーーっっっっっ!!!! うがぁぁぁーーーーーっっ!!!」
 思わず暴れる俺。
「だってー、お兄ちゃまって、間違えても死にそうにないしぃ〜」
「うん☆ それにおにいたま、水泳がとーっても上手だから、スイスイって泳いできたんでしょ?」
「両足ロープで縛られて、どうやって泳げっていうんだーーーーーーっっっ!!!」
 
 ポン
 
「「それもそうね☆」」
 二人揃って、初めて気付いたかのように手をうつ。
 
 バタン……
 ……ああ、気が遠くなっていく……
 
 グイッ
 
 気絶しかかったところを花穂に無理やり引き起こされる。
「だめよっ、お兄ちゃま! 根性が足りないわっ!」
「……根性って言われてもなぁ」
「だめよっ、そんな弱気じゃっ! 一緒に国立競技場を目指す……じゃなかった、亞里亞ちゃんと一緒に帰るために頑張るって誓ったじゃないっ! ほら、あの星にっ!!」
 ……花穂。どうでもいいが、今は昼だぞ……
 そこへ、しょんぼりした様子の雛子が近づいてくる。
「おにいたま…… ヒナ、やっぱり間違ってたよね。バンジージャンプで強くなれるわけなかったよね」
 ……そりゃー、そうだ。
「でね。ヒナわかったの……やっぱり強い相手とポカポカしないと、強くなれないってことが」
 ………へ?
「そしたらね。ヒナの大事なお友達が協力してくれるって☆」
 ………ヒナの友達でそんなに強いやつなんていたか?
「じゃ〜ん。でておいでー、べあべあ」
 ガサガサガガ…
 木立を掻き分けノソッと出てきたのは…
 
「ベアベア」
 
「じょえええええーーーーーーーっっっ!!!」
 
 ヒグマ登場。
 
「な、なんだーーーーっっっっ!? その猛獣はっっっ!!!」
「んとね。ヒナのとーっても仲良しで、べあべあっていうんだよ」
 なでなでなで
 ……あっ、雛子の頭を撫でてやってる……い、意外とおとなしいな…
 ………ボソボソボソ
 雛子に何か耳打ちしている……よーく考えると異様な光景かも。
「ん? うんうん。えーとね、おにいたま。べあべあは『雛子さんの大事なお兄様に危害を加えるような真似をするのは、本意ではありませんが、雛子さんのたっての希望とあればやむを得ません。ここは一つ心を鬼にして鍛えさせて頂くことと致します』だって。おにいたま、良かったね〜」
 そう言って雛子はニッコリした。
 
 ………あのー、俺、帰らせてもらってもいいですか?
 
 グイッ!
 
「わーい、お兄ちゃま、ファイトっ♪」
 花穂、応援してくれるのはありがたいんだが、逃げようとする俺の襟首をひっ捕まえて、引き戻すのはやめて欲しかった……
 
 うやむやのうちに俺はそのヒグマ(ベアベア)と対戦するハメに……
 
「くそっ! こうなったら何でもやったるわい。かかってこいベアベアっ!」
 既に開き直ってるとも言う。
 
 シュッ
 
 ベアベアの手が伸びるっ!
 
「わー、『クラッシュクロー』だー!」
 無邪気に喜ぶ雛子。
 
「ふっ、これを華麗によけてだな……って、ブッ!!」
 
 バキッッッッ!!!
 ヒューーーーーーーーー……ドガッ!!
 
 俺は、顔からモロにくらって、傍らの木の上まで一直線に飛ばされていき、木の枝に引っかかって宙吊りになる。
 
「あーっ! おにいたま! 木にぶら下がって遊んでないで、まじめにやってよー」
「ばかものっ! これのどこをどーみたら、遊んでるようにみえるんだーーーーっっ!!」
 うーむ。額から血をどくどく流しながらしゃべってるのは、ちょっとこわいかも。
 
 ふー…
 やっとのことで木から降りて来て、もう一度ベアベアと向かい合う。
「さっきは油断したが、これでもう見切ったぜ! さあ、もう一度来て見ろ!」
 
 キラーン
 
 ベアベアの目が光った!?
 
 ボアー……
 
 ベアベアの右手に新巻鮭が表れる。
 
「わー、『サーモンブーメラン』だー。花穂、見るの初めて☆」
「うんっ。べあべあのすっごい技だよ。手に持ってるお魚をぶーんって投げると、相手にどかって当たって、血がぴゅ〜んってすごい勢いで吹き出すんだぁ」
 
 ……二人とも、そんなに俺に死んで欲しいんですか……くすん。
 
 ブンッ!
 
 ベアベアが手にした新巻鮭を投げてくる。
 
 は、速いっ!!
 
 バシュッ!!
 
 何とか直撃は避けたものの、俺の腕を傷つけ、血を噴水のように吹き出させる。
 
「わーい。お兄ちゃまぁ、水芸♪ 水芸♪」
「………あのー…花穂さん……水は水でも出てくるのは赤い水なんですけど……」
 
 その後、修行は夕方まで続いた。
 ………生きていられたのは奇跡に違いない……
 
 別れ際、ベアベアがまた雛子に耳打ちしている。
「うんうん。わかったよ。んっとねえ、べあべあは『あなたには見所があります。ぜひもう一度お越しください。今回よりも二倍も三倍も強くしてさしあげます』だって。おにいたま、また来ようね〜」
 
 ………死んでも来ねえぞ。
 
 
 
 そして、ついにじいいにリターンマッチを挑む時が来た。
 場所は、やはり小学校の校門の前。
 下校中の子供たちが周りをぞろぞろ歩いているので、緊張感無いことこの上ない。
「ふっ、小僧。こりずにまたあらわれよったか」
 相変わらず一部の隙も見せない。
「待ってたぜ、じじいっ!」

「喝っっーーーーーーっ!!!」

 ビクッ!
「セバスチャンと言うておろうがっっ!!!」
「くっ、まあいい。セバスチャン! 今までの俺とはわけが違うぜっ!覚悟しなっ!」
「ほぅ、なかなか威勢がいいな。どれお手並みを拝見させてもらうか」
 セバスチャンは不敵な笑みを浮かべた。
「強がっているのも今のうちだぜっ! 出でよ奥様っ!!」
「奥様?」
 
 スーー……
 
 俺の声と同時に、校門の陰から30すぎの女性が現れる。
「……ママン…」
「お、奥様っ!? ど、どうしてここにぃっ!!」
 思いっきり動揺するセバスチャン。
 
 ズイ…
 
 奥様が一歩進むと同時に、迫力に押されたようにセバスチャンが一歩後ろに下がる。
「セバスチャン…」
 奥様が口を開く。
「は、はいっ! な、なんでございましょうっ!」
 セバスチャンは明らかに怯えた様子を見せる。
「あなた、この亞里亞の大事な兄やに、なんてことをするのっ! もし、そんなことをしたら、わたしが許さないわよっ!!」
「し、しかし大旦那さまより固く言いつけられておりますので…」
「なーに、わたしの言ってることが聞けないって言うの?」
 
 ギロッ
 
 セバスチャンを一睨みする。
「し、しかし、奥様…」
「もし、わたしの言うことがきけないようだと、セバスチャン」
「は、はいぃぃぃ!!」
「あなたは、『セバス』に格下げよっ! もう『セバスちゃん』と可愛く『ちゃん』付けで呼んであげないわよっっ!!」
「わ、わかりましたっっ!!!」
 あわてて頭を下げるセバスちゃん。
 ………おいおい、『セバスチャン』の『チャン』って愛称かよ……
 奥様はクルッと俺の方を向いた。
「こんなもんでよろしいかしら?」
「はいっ。ありがとうございます」
「また、なにかあったら気軽に呼んでね。それじゃ、わたくしはこの辺で、ホホホホホホ………」
 奥様は去っていった。
 
「くっ、奥様をお呼びするとは卑怯なっ!」 「ふわっはははは、勝てばなんだっていいんだっっ!!」
「……兄や、素敵です……(ポッ)」
 赤くなる亞里亞。
 
 ………いーのだろうか、ほんとに……
 
「しかたあるまい。今日のところはワシの負けじゃ」
 がっくりと膝をつくセバスチャン。
 勝った! ウヤムヤのうちに……
「これでもう、俺の事を小僧だなんて呼ばせないぜっ!」
「……しょうがありません」
 口調も丁寧語に変わっている。
「よし、これからは俺の事は名前の……」
「お待ちくださいっ! みなまでおっしゃらずともわかりますっ!!」
 んっ!? なんだ?
 俺の事を手で制するセバスチャン。
「もちろん、これからはちゃんとお呼び致します」
 あれっ? セバスチャン、俺の名前知ってたっけ?
 
「に・い・や(ハート)」
 
 ゾゾゾゾゾゾゾーーーーーーーーッッッッッッ!!!!
 全身に鳥肌が立った。
 
「これからは、亞里亞お嬢様と同じように『兄や』と呼ばせていただ……」
「うおーーーっっっ!! 俺の事をそんな呼び方で呼ぶんじゃねぇぇぇーーーーーーーーー!!!!(涙)」
 
 ガンガンガンガンガンガン!!!
 
「お、お待ちください! 武器を使うのは反則ですぞっっ!!」
「うるせぇーーー!!! お前なんかこれで十分だぁぁーーーーっっ!!!」
 
 そこには、執事を手に持ったドラム缶で力の限り叩きつづける兄の姿があったという……
 
「くすん……せっかくじいやが兄やを亞里亞と同じように呼んでくれたのに、どこがいやなのかな? 兄や……くすん」
 
 〜おわり〜
 
あとがき
この話は亞里亞のBD記念SSということでSPSSさんに投稿した話ですが………これって亞里亞SSですか?
亞里亞誕生日記念の割に、亞里亞が全然出てなかったような……(笑)
さらに、花穂と雛子をあんなことにして、大丈夫なんでしょうか、わたし…
というか、それ以前に、根本の設定からパロディーってところがダメダメのような気が。
前の話までは、パロディーの元を知らなくても楽しめるようにはしているつもりでしたが、今回は元ネタを知らないとちょっとつらいかもしれませんね。
それ以外にもさらにパロディー盛りだくさんで突き進んでいます。はい。
しかも普段より2倍もマイナーな元ネタが入っています!!(←だめじゃん(笑))
奥様の名前が「桂子」というヒントでわかった方は、ぜひご一報を!(笑)


追記
この話を書いた当時は、まだゲームの発売前でした。
そのため、『じいや』の存在はわかっていたのですが、まさか、あんなキャラクター(笑)とは、夢にも思いませんでした。
後にゲームが発売されて、この話のじいやが、公式設定とは思いっきり異なっていることがわかりましたが、今更変更しようが無いのでそのままにしています。(2001/8/3)
 
2000年11月2日発表
2001年8月3日改訂

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