矢代秋雄 交響曲

指揮渡辺暁雄
演奏日本フィルハーモニー交響楽団
録音1981年11月17日
カップリング三善晃 交響三章
販売ビクター
CD番号VDC-5506


このCDを聴いた感想です。


 矢代秋雄(1929〜76)は残された作品は決して多くありませんが(というより、はっきり言うと、とても少ないです。恐らく10も無いのではないでしょうか)、日本の作曲史上に名を残す作曲家です。
 交響曲は、この1曲しかありませんが、わたしは十分に交響曲の作曲家だと思っています。

 この交響曲は、第2楽章以外はメロディーが親しみやすいということもありませんが、構成がしっかりしており、グイグイ引き込まれます。
 第2楽章はメロディーも比較的なじみやすいのですが、それ以上に楽章全体が特徴的なリズムで貫かれています。それは、当時人気のあった新聞小説に出てくるお神楽のたいこの描写を基にしているらしいのですが、3・3・5・3という変則的なリズムで、この5の部分がアクセントになっています。
 わたしが、この曲で最も好きなのは第4楽章です。
 主旋律はどことなく狂躁的で、支離滅裂のような雰囲気ながら、実はソナタ形式に沿って構成されています。
 また、主旋律を展開して盛り上げて行く様子が、どことなく春の祭典のように、バーバリズムっぽく、結構好きです。

 作曲家の團伊玖磨さんが書かれている本に、「パイプのけむり」というエッセイのシリーズがあります。
 その中の、どの巻か忘れましたが、矢代秋雄の思い出について書かれた話があります。
 團さんが、矢代秋雄が亡くなったのを聞いたとき、何人かと談笑していたそうなのですが、その時全員が非常にショックを受けたと書かれています。
 矢代秋雄が亡くなった間接的な原因は過労だったらしいのですが、それは、東京芸大の教授と作曲活動を両方続けていたためだったそうです。

 矢代秋雄が生きていれば、今年で71歳。まだ活躍していてもおかしくない年です。
 せめて、10曲以上は遺しておいて欲しかったな。と思います。(2000/3/31)