W.A.モーツァルト 歌劇「魔笛」序曲

指揮ヘルベルト・フォン・カラヤン
演奏ベルリン国立歌劇場管弦楽団
録音1938年12月
カップリングロッシーニ 「セミラーミデ」序曲 他
「カラヤン初期録音集」より
発売Universal(Grammophon)
CD番号471 703-2


このCDを聴いた感想です。


 録音を山のように残しているカラヤンのスタートがこの「魔笛」序曲です。
 1938年の録音ですから、1907年生まれのカラヤンはまだ31歳。演奏しているベルリン国立歌劇場でも指揮をするようになったばかりの頃です。
 演奏も若々しく勢いがあります。
 オーケストラがオーケストラだけに響きは重めですが、テンポ良く進んでいくためモタモタしたところはなく、なにより常に力強さが表に出ています。例えば、速いテンポに入ってからピアノで進んでいく中で4拍目だけフォルテが登場する部分やその後の2拍目で登場するスフォルツァンドなどでは、硬くというよりもむしろ重く踏み込むようなフォルテで、力が入っています。
 メロディーの歌い方もスピード感のある真っ直ぐな歌い方です。
 後のカラヤンのようなレガートで滑らかにつないでいく歌い方はあまりしておらず、スラーとそうでない部分の違いを明確につけ、はきはきと歌わせています。
 力と勢いで真っ直ぐに進めていく姿勢は堂々としていますが、力が入っているだけに、派手ではあるものの、洗練された華やかと軽さに欠けるところはあまりモーツァルトらしくないかもしれません。
 しかし、この演奏の真っ直ぐな進み方には、仮に、らしくなくても独自の良さがあります。
 さらに、全体の響きを引き締め、前へ集中させている統率力はこの時点からすでに高く、オーケストラを一体にまとめています。
 これはオーケストラの上手さもあるのでしょうが、速いテンポになってすぐ登場するメロディーの4拍目の16分音符の細かい動きなどで軽く驚かされました。
 ピアノからフォルテに変わる頭の音ばかり強調して後の三つの音が流れてしまうことなく、かといって、四つの音ともきっちり演奏しすぎて重くなることもありません。それまでの3拍よりは強調されているものの軽さは保ち、しかも四つの音の粒もきちんと立っています。
 全体としては力と勢いが先に立ち、まだまだ荒い部分はありますが、細かい部分も注意して演奏しようとしているのは伝わってきます。(2006/9/30)


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