W.A.モーツァルト セレナード第13番 ト長調 <アイネ・クライネ・ナハトムジーク>

指揮エーリッヒ・クライバー
演奏ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音1934年5月23日
カップリングシューベルト 交響曲第8番<未完成> 他
発売TELDEC(Telefunken)
CD番号0927 42664 2


このCDを聴いた感想です。


 キビキビとした清々しい演奏です。
 ベルリン・フィルという大きなオーケストラにもかかわらず、まるで少人数で演奏しているかのように細く引き締まった音で、不必要な重さがありません。(もっとも、そもそも少人数で演奏していたり、さらに録音によってそう聞こえるのかもしれませんが)
 なかでも特長が出ているのが8分音符のような短い音で、フォルテの部分でも。かなり短く音を切ることで音が硬く鋭くなり、俊敏な雰囲気がよく表れています。
 たしかに音を短く切っている分だけ、若干横の流れは悪くなっているのですが、それが気にならないぐらい音楽が生き生きとしています。
 また、短い音符は、ピアノの部分でも少し違った魅力があります。
 特に、よく登場する、4分音符が三つ並ぶ代わりに8分音符+8分休符の組み合わせが三つ続くようなパターンは、フォルテと違って、一つ一つの音が柔らかく丸められていて、これがポンポンポンと三つ続く様子は非常に可愛らしく、ユーモラスです。
 第1・2・4楽章が、だいたい同じ傾向なのですが、ちょっと面白いのが第3楽章です。
 この楽章こそ、音を短く切って躍動感のある動きを前面に押し出せそうなものなのですが、クライバーはそうはしていません。
 テンポをぐっと落として、一つ一つの音を長めにとり、かなり重く演奏しています。
 そのため、俊敏さや躍動感はそれほど感じられないのですが、その分、横の流れがあり、トリオの部分などは、レガートを強調して、他の楽章からは想像もできないぐらいメロディーを濃厚に歌わせています。
 しかし、考えてみれば、この楽章はメヌエットでありスケルツォではないのですから、クライバーがとった遅めのテンポの方が本当はふさわしいのかもしれません。

 ところで、古の名著に「名曲決定盤」という本があり(著者:あらえびす(野村胡堂)、中央公論新社)、わたしも非常に参考にしております。
 そのなかのクライバーの欄で、この「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」が取り上げられているのですが、あらえびす氏の評価としては『悪くない』程度で、褒めてあるシュトラウスのワルツやスッペの序曲と違って、それほど芳しいものではありません。
 しかし、わたしの印象としては、シュトラウスのワルツ等と較べても遜色なく、録音状態や好みという点では、むしろ上回っている部分もあると思っています。(2003/11/22)


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