W.A.モーツァルト セレナード第12番 ハ短調 <ナハトムジーク>

指揮ニコラウス・アーノンクール
演奏ウィーン・モーツァルト管楽合奏団
録音1985年1月
カップリングモーツァルト セレナード第10番<グラン・パルティータ>
発売ワーナー・ミュージック(TELDEC)
CD番号WPCC-5316


このCDを聴いた感想です。


 モーツァルトの曲で<ナハトムジーク>というと、どうしても真っ先にあの有名な<アイネ・クライネ・ナハトムジーク>が思い浮かびますが、その曲はセレナード第13番で、この曲はセレナード第12番。全く別の曲なのです。
 編成も<アイネ・クライネ・ナハトムジーク>の方が弦楽四重奏もしくは弦楽合奏なのに対して、この<ナハトムジーク>はオーボエ2・クラリネット2・ファゴット2・ホルン2の計8本の管楽合奏です。
 同じ<ナハトムジーク>と副題が付きながら、知名度では<アイネ・クライネ・ナハトムジーク>に大分差をつけられているこの曲ですが、内容的には決して引けを取るものではない………と、少なくともわたしは思っています(笑)
 また同じ管楽合奏のセレナードには第10番に、いわゆる<グラン・パルティータ>と呼ばれる、これまた有名なセレナードがありますが、この第12番の副題の<ナハトムジーク>は、モーツァルトの死後勝手につけられた<グラン・パルティータ>とは異なり、ちゃんとモーツァルト本人がつけたものです。
 ……というか、実は副題の<ナハトムジーク>という名称と、モーツァルトが書いた手紙を突き合わせて、ようやくこの曲の作曲年代等を類推することができたらしいのです。
 そのため、この曲に関しては、まだまだ不明な点もたくさん残されているとの事です。
 もっとも、モーツァルト自身はこの曲を気に入っていたと見えて(まあ、単純にスポンサーからの要望かもしれませんが)、弦楽五重奏曲に編曲していたりもします。
 また、この曲の編成は、現代ではあまり流行らない編成ということもあり、後世、D.ワルターという人が編曲した、木管五重奏の編成での演奏も広く流布しています。

 さて、肝心の曲と演奏の方ですが、この曲はモーツァルトのセレナードと言っても、短調という事もあり、祝祭的な性格はあまり強くありません。
 むしろ短調特有の緊張感の強い曲で、アーノンクールの演奏も、よくまとまっていながらもアタックを強めに出すことで、緊張感を高めています。
 これらは第1楽章と第3楽章の主題部と第4楽章に共通していて、高い緊張感と共に、曲の持つ激しい面を前面に出しています。
 もちろん、第2楽章のようなゆったりとしたメロディーでは、メロディーを優しく歌わせ、穏やかな雰囲気を醸し出しています。
 しかし、それ以上にわたしが曲・演奏共に最高だと感じたのは第3楽章のトリオです。
 この部分はオーボエ2・ファゴット2の4本だけなのですが、楽章全体に『カノン』と標題がつけられているだけあって4本がそれぞれ同じリズムの二種類のゆったりとしたメロディーを互いに追いかけていきながら絡んでいきます。
 そのメロディーが次第に増えながら絡み合っていく姿は、現世の全ての憂いを忘れさせてくれるかのように慈しみに充ちていて、まるで夢の中の世界のようです。
 こんなに人を落ち着かせる空気というものは、なかなか体験できるものではないと思います。

 演奏している『ウィーン・モーツァルト管楽合奏団』というのは、ウィーン交響楽団のトップ奏者を中心として結成された団体だそうで、たしかにメンバーの中には、ファゴットのトゥルコヴィッチような、わたしでも知っているような著名な奏者が入っています。
 また、ホルンにギュンター・ヘーグナーが入っていることからも分かる通り、ウィーン響だけではなく、ウィーン・フィルのような他のオーケストラのメンバーも加わっているようです。(2001/11/9)


サイトのTopへ戻る