W.A.モーツァルト オーボエ協奏曲 ハ長調

指揮クラウディオ・アバド
独奏オーボエ:レイ・スティル
演奏シカゴ交響楽団
録音1983年3月
カップリングJ.ハイドン トランペット協奏曲 他
「THE CHICAGO PRINCIPAL
FIRST CHAIR SOLOISTS PLAY FAMOUS CONCERTOS」の一部
発売Grammophon
CD番号B0000025-02


このCDを聴いた感想です。


 なんといっても音色に魅了されました。
 少し細めの響きながら透明感があり、なにより軽さがあります。
 その軽さは上滑りするような軽薄なものではなく、風に上手く乗った羽のように、フワッとしていながらも、ちゃんと力によって支えられています。でも、その力は隠れて意識されず、軽さだけが感じられるのです。
 他のソリストの音色には、もっと太く重厚な音もありますし、輝かしい音や表情豊かな音もあります。わたしも、それほど多くのソリストの音を聴いたことはないのですが、聴いた中では、これほど軽く澄んだ音はありませんでした。蒸留して純粋な部分だけ取り出したように洗練されています。
 歌い方も、音色を活かすかのように、ごくごく軽めです。
 表情付けは必要最低限に留め、アクセントなども重みをつけず、硬めのアタックの後、力をすぐに抜いて、強くなりすぎないようにしています。
 そのため、力強さや大きく訴えかけるような表現力という点では、どうしても他の演奏には及びません。
 ただ、わたしがこの演奏聴くときには、そういうものを求めて聴くわけではなく、なによりも音の美しさに浸りたいためで、その点では、この歌い方こそが最も音色の魅力を引き出せるのではないかと思います。
 伴奏も、ソロが軽い音ということもあって、控えめに徹しています。ただ、響きは意外と厚みがあり、案外、人数は室内管弦楽団のように減らしておらず、ブラームスなど辺りをやる時と同じくらいの人数なのかもしれません。それでも、響きが厚いといっても濁りは無く、よく締まっている辺り、シカゴ響のレベルの高さが伺えます。
 ちなみに、ソロのレイ・スティルは、そのシカゴ響の首席奏者を長年務めたオーボエ奏者です。入団したのが1953年で退団が1993年ですから、ライナーやショルティといった指揮者による黄金時代の顔の一人といえるでしょう。(2009/1/10)


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