V.トムスン 交響曲第2番 ハ長調

指揮ジェームズ・セダレス
演奏ニュージーランド交響楽団
録音1998年11月23〜25日
カップリングトムスン 交響曲第3番 他
販売NAXOS
CD番号8.559022


このCDを聴いた感想です。


 このCDについていたオビの宣伝文には、この曲の冒頭のトランペットの主題を『思わず力が抜けるお気楽な主題』と称してますが、わたしに言わせるとそんな生易しいものではありません。
 わたしがこの主題を聴いた瞬間、頭に浮かんだのは、

「な、なんておバカな主題なんだ!」

 という思いです(笑)

 いや、何と言うか、これほど頭の悪そうな主題(※褒め言葉です)というのは聴いた事がありません。
 まるで、風呂場で鼻歌で思いついたんじゃなかろうか、と思ってしまうぐらいの脳天気さに溢れています。
 しかも、メロディーがトランペットの一本だけで、伴奏も弦楽器のピチカートだけというのが、その雰囲気に拍車をかけています。

 ところが、これがまたよく印象に残るんです。
 道を歩いてる時なんかに、自分でも無意識のうちに、鼻歌でこの主題を歌ったりしているのに気がつくぐらいです。
 どうやら、よほど脳に強く刻み込まれてしまったようです(笑)
 いやー、やっぱり、わたしはこういうおバカな雰囲気って、大好きですね。

 と、曲の始まり方は、めちゃめちゃ脳天気なのですが、実は冒頭を過ぎると、あまりそういう雰囲気ではありません。
 もちろん、トムスンなので、メロディー自体は民謡を基調にしたもので、非常に親しみやすいものです。
 しかし、この辺はアイヴズとも共通しているのかもしれませんが、親しみやすいメロディーを一緒にぶつけることで、独特の歪みを生み出しています。
 ただアイヴズと違って、正確には同時に二つのメロディーをぶつけるわけではなく、親しみやすいが全く異なるメロディーを順番に切り替えていく事で効果を出しているため、アイヴズのように不協和音が連続して響いたりはしません。
 あくまでもメロディーはメロディーとして単独で馴染めるようになっているのですが、Aというメロディーで進んでいるのに、急にテンポも拍子も異なるBというメロディーに変わったりするため、一筋縄では行かない深みがあり、結果、印象にもよく残るのです。
 そう、実は冒頭より先は、頭が悪いどころか、逆に知的な雰囲気の方が強かったりするのです(笑)
 ただ、メロディーが親しみやすいというのは大きく、全体を通しては、斬新な構成という印象が強いにもかかわらず、聴く者を突き放しているような冷たさがなく、聴き終わっても『また聴いてみたいな』と思わせるような曲なのです。
 ついでに、第3楽章には、以前書いた「賛美歌の調べによる交響曲」にも登場したメロディーなんかも姿を見せるので、嬉しくなります。
 こういうのがあるからトムスンの曲って、つい聴きたくなってしまうんですよね(笑)

 この曲は全3楽章で、長さも全曲で16分程度と、なかなかお手頃な曲です。
 その上、知的なのに親しみやすいというお得な曲なんですから、もっと録音が増えて欲しいものです。
 個人的に、トムスンにはかなり注目しています。(2002/5/24)