T.スザート 舞曲集

指揮クリスティアン・マンドーズ
演奏ムジカ・アンティクヮ古楽器アンサンブル
録音1984年10月20〜21日
カップリングプレトリウス テレプシコーレの舞曲 他
「13〜17世紀の舞曲集」より
発売ビクター音楽産業(Pierre Verany Records)
CD番号VDC-1377


このCDを聴いた感想です。


 スザートは、16世紀前半に活躍したオランダの作曲家兼楽譜出版業者です。16世紀後半に活躍した、プレトリウス、ファーナビー、ヴァレリウスなどよりはだいたい一世代前といったところでしょうか。CDなどの分類ではだいたいルネサンス時代として扱われています。
 時代としては古楽ですが、吹奏楽をやっていた者にとっては、スザートはプレトリウスなどと共に金管重奏としてのイメージが強いのではないかと思います。かくいうわたしも、フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブル(以下PJBE)の演奏によりスザートを知りました。
 PJBEをはじめとしてブラス・アンサンブルのCDも多く出ていますが、この演奏は、金管ではなく古楽器によるもので、リコーダーと打楽器を中心に演奏しています。
 もともとスザートの舞曲集は全部で57曲あるそうで(PJBEのCDの解説による)、その全てを演奏しているわけではなく、PJBEはその中から6曲、このムジカ・アンティクヮ古楽器アンサンブルでは7曲を抜き出しています。その7曲は、以下の通りです。

1.羊飼いの踊り<欠点がなく>
2.ナッハタンツ
3.ロンド<なぜ>
4.羊飼いの踊り
5.ロンド
6.バス・ダンス<私の望み>
7.郵便

 上記の中で、1と6がPJBEと重なっています。
 ただ、同じ曲であっても演奏楽器が違うと印象は大きく異なります。
 ムジカ・アンティクヮ古楽器アンサンブルの方は、リコーダー中心だけあって、ぐっと小さくまとまっていて、暖かく素朴です。
 一方、PJBEの方は、金管中心であるため、人数としてはそれほど違いは無くても、スケールははるかに大きく堂々としています。言うなれば、PJBEが都市のコンサートホールで燕尾服を着ての演奏なら、ムジカ・アンティクヮ古楽器アンサンブルは、村の広場のお祭りで村人がちょっとハレの服を着て演奏しているといった感じがします。
 小さいながら土地の情景が目に浮かんでくるような生き生きとした演奏です。
 テンポもPJBEに較べるとだいぶ速く、また、リコーダーだけでなく、打楽器も入っているため、拍がしっかりしていて、テンポよく進んでいきます。
 もともとこの舞曲集には楽器の指定が無く、どんな楽器で演奏してもかまわないとの注意書きがあるそうです(これもPJBEのCDの解説による)。そのため、リコーダー中心の編成も、金管アンサンブルもどちらも「あり」なのでしょう。PJBEの演奏は曲の魅力を格調高く伝えています。しかし、より身近で舞曲らしいリズムのキレがあるのはムジカ・アンティクヮ古楽器アンサンブルの方だと思います。素朴な音色と相まって、曲をとても魅力的に聞かせてくれます。
 ちなみに、わたしが持っている舞曲集のCDはもう一種類あります。ピケット指揮のニュー・ロンドン・コンソートのもので、これはCD1枚がまるごと舞曲集になっており、PJBEとムジカ・アンティクヮ古楽器アンサンブルのものよりはるかに多くの曲が収録されています。古楽器系ながら金管も入っていて、よりPJBEに近い華やかな演奏です。
 また、今回取り上げたCDで演奏している「ムジカ・アンティクヮ古楽器アンサンブル」は、ムジカ・アンティクヮ・ケルン(MAK)と似た名前の団体ですが、別団体です。MAKの方はその名の通りケルンで1973年に結成された団体で、ムジカ・アンティクヮ古楽器アンサンブルはフランスのトゥーロンで1981年に結成された団体です。(2009/9/12)


サイトのTopへ戻る