S.ラフマニノフ 鐘

指揮エフゲニー・スヴェトラーノフ
出演ソプラノ:ガリーナ・ピサレンコ (Galina Pisarenko)
テノール:アレクセイ・マスレニコフ (Alexei Maslennikov)
バリトン:セルゲイ・ヤコヴェンコ (Sergei Yakovenko)
演奏ソヴィエト国立交響楽団
ユーロフ・ロシア合唱団
カップリングラフマニノフ 春
録音1979年
発売Yedang
CD番号YCC-0153


このCDを聴いた感想です。


 スヴェトラーノフとソヴィエト国立響の演奏ということで豪快な演奏かと思ったのですが、ちょっと見当が外れました。
 スケールは大きく、この点ではたしかに豪快といってもおかしくありませんが、粗かったり荒かったりはせず、きっちりとまとまっています。強いてあげるなら、金管のフォルテでの響きがロシアらしくビリビリとした平たい響きというところぐらいでしょう。
 豪快でなくても、表現の大きさは充分にスヴェトラーノフらしいものです。逆にまとまっているだけにより表現力の大きさがよくわかります。
 もっとも特長が表れているのが第2楽章の「Lento(結婚式の金の鐘)」です。
「レント」という速度指定の通りゆったりとした楽章で、時間をかけてじわじわと盛り上がり、盛り上がると今度はそれがまたしばらく続くという、象のように巨大で鈍く重い動きで進んでいきます。まあ、気の短い人が聴いているといらいらしてくるような展開ですね。
 この演奏は、一つ一つの音に力を込めてよく響かせ、メロディーも大きく表情をつけてじっくりと歌っています。最弱音から盛り上がった部分での最強音までのダイナミクスが広く、これがスケールの大きさにつながっているのはもちろんですが、細かい部分での強弱の変化の扱いも巧みで、うねる波のようにいろいろな表情を見せながら次々とつながっていきます。
 ソプラノのソロも表情豊かで、それもオペラのソロと違ってことさらテクニックを誇示したりせずに、じっくりと声を響かせるだけながら存分に歌っています。
 同じ「レント」指定のゆっくりとした楽章でも、死の鐘がテーマの第4楽章は、メロディーを歌いこんだ表情の変化よりも力強さを強く感じます。
 愛がテーマの第2楽章と違ってあまり情熱的に歌いこんだりせず、控えめにしておいて少し沈んだ寂寥感をにじませています。
 その代わり、ここぞという場面でフォルテで登場する金管のアタックの衝撃的な力強さは第2楽章にはないものです。結婚ではなく死ならではの衝撃でしょう。
 また、速い楽章である第3楽章でも力強さが表に出ています。
 テンポはそう遅いというほどではありませんが、響きの重心が重いためキレはそれなりで、力強くズシリと腹に響くアタックが目立ちます。
 この楽章は、個人的に中ほどのスネアドラムがロールしているところに合唱が入ってくる部分が緊張感が高く聴き所だと思っていますが、この演奏は、そこよりも他の例えば後半の金管や合唱がフォルテで入り乱れる辺りなどに迫力を感じました。
 第1楽章も基本的に同じ傾向です。
 楽章の性格から少し軽めでスピード感もありますが、やはり力強いものです。テノールのソロも声に伸びがあり、合唱と一体となってオーケストラがフォルテに向かう部分などは大きなスケールで盛り上がっていきます。

 Yedangレーベルというと、面白い録音が多い代わりに録音状態が悪いものも少なくないのですが、この演奏は拍子抜けするくらいまともでした。雑音も無く普通に聴きやすい録音です。(2006/5/6)


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