S.ラフマニノフ 交響曲第3番 イ短調

指揮シャルル・デュトワ
演奏フィラデルフィア管弦楽団
録音1990年11月
カップリングラフマニノフ 交響的舞曲
発売DECCA
CD番号433 181-2


このCDを聴いた感想です。


 わたしがこの演奏が好きになったのは、なんといっても第1楽章の第2主題の歌わせ方にあります。
 もともと、この第2主題のような、中低音で朗々とメロディーが演奏されるつくり自体が好きで、交響曲第3番の中でもっとも印象に残っているのも第1楽章の第2主題でした。
 そのため、この曲の演奏を聴く時でも、真っ先に注目するのが、第2主題をどう演奏するかという点ですが、わたしが今まで聴いた演奏の中で(といってもそれほど多い数ではありませんが)、最も理想的だったのがデュトワの演奏だったのです。
 実は、そもそも第3番の演奏で最初に聴いたのがデュトワの演奏で、その後、どの演奏を聴いてもデュトワ以上とは思えませんでした。(デュトワが基準になってしまっているという所為もありますが)
 この主題を、デュトワは、デュトワにしては珍しく(?)テンポに大きく緩急をつけ、ゆったりと大きく歌わせています。
 低音も少し強めに効かせる事で、響きに立体感が生まれ、深い情緒が感じられます。
 しかも、大きく歌わせていても、メロディーに必要以上に力を込めて、感情丸出しに暑苦しく歌わせたりはしません。
 しみじみとした情感をたたえていながら、表情はあくまでも穏やかで、颯爽としています。
 まるで、避暑地の涼しい高原で、吸い込まれそうなほど濃く染まった青空を見上げているようで、高く雄大な雰囲気があります。

 全曲の印象としても、穏やかで澄んでいて、あまりロシア的な力強さはありません。
 色彩的にも淡いパステル調で、ギラギラした華やかさでもありませんし、かといってくすんで重たくもありません。基本的に陽性なのですが適度に抑制が効いています。
 例えば、金管の類は、フォルテになってもかなり抑えてあり、響きは弦楽器を主体にして、丸く柔らかい和やかな響きになっています。

 この演奏は、デュトワは慣れ親しんだモントリオール響ではなく、珍しくフィラデルフィア管を指揮しているのですが(たしか当時、デュトワはフィラデルフィア管の主席客演指揮者だったので、別に不思議でも何でもありませんが)、やはりデュトワの特徴である洗練された雰囲気を強く出ていて、オーケストラによる違いはそれほど感じられません。
 強いて挙げれば、フィラデルフィア管との方が透明度が少し弱く、その代わり流麗で明るく、動きがよりダイナミックのようです。
 もっとも、そもそもそれぞれのオーケストラの特徴をちゃんとつかんでいるかといわれると、それ自体、かなり怪しいものですが(汗)
 ちなみに、フィラデルフィア管は、この交響曲第3番を初演したオーケストラでもあります(指揮はストコフスキー。1937年11月)。
 1939年にはラフマニノフ本人の指揮でこの曲を録音していたりと、考えてみると、世界で最も由緒正しい伝統があるのですね。(2003/10/25)


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