S.ラフマニノフ パガニーニの主題による狂詩曲

指揮フリッツ・ライナー
独奏P:ウィリアム・カペル
演奏ロビン・フッド・デル管弦楽団
録音1951年6月27日
カップリングラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 他
発売BMG(RCA)
CD番号09026-68992-2


このCDを聴いた感想です。


 ソロ、オーケストラともに異常なまでにテンションの高い演奏です。
 冒頭なんか、もともと力強いフレーズですが、それを噴火寸前の火山のようにギリギリまで緊張感を高めた硬い音で叩きつけています。
 ただ、叩きつけるといっても、カペルのピアノ音は、荒れたり濁った音ではありません。金属のように硬質で力強さと緊張感だけをすくい取ったような純粋な響きがします。一方、伴奏のオーケストラの方は、こちらも硬く引き締まった音ですが、だからといってあまりにも絞りすぎて針金みたいに痩せてしまうことなく、ソロを受け止めるのに十分の厚みも備えています。
 ソロの硬い澄んだ音は、キレの良さもあいまって、速い動きの変奏で威力を発揮しています。
 一つ一つの音が明晰で力があり、軽々と跳ね回る姿はとても生き生きとしています。若々しいというかスピード感があります。
 ただ、その一方で有名なアンダンテ・カンタービレなどは、その明晰さが行き過ぎてしまったように感じられます。あまりにも一音一音がはっきりとしていて情緒の入る隙間がありません。個人的には、もっと柔らかくつなげて、余韻のある歌い方をして欲しかったところですね。
 それに較べて、オーケストラの方は、ずっと老練です。
 たしかに、硬くキレのある音ですが、勢い任せで突っ走ったりせず、引くべきところは引いて柔軟にソロを受け止めています。響きに厚みがあるため、透明度ではソロの方が光っていますが、緊張感は高く、ソロとの掛け合いでは、真剣の打ち合いのような一歩間違えれば刃こぼれしかねないほどの鋭い応酬を交わしています。
 カペルの同曲の演奏は、1945年にロジンスキーとニューヨーク・フィル響と組んだものもあります。こちらはライブ録音で、後半に一気に盛り上がっていくものの、前半はピアノ、オーケストラ双方とも少し反応が鈍く今一つ調子が上がりません。それに較べ、このライナーとの演奏は、いきなり冒頭から高いテンションで始まり、それが最後まで続いています。
 録音状態も、年数としては6年の違いしかありませんが、この時代の6年の録音技術の進歩は著しいものです。しかもライブ録音とスタジオ録音という差もあり、雑音や音の鮮明さや響きの広がりなどは段違いで、はるかに聞きやすくなっています。
 ちなみに、伴奏のロビン・フッド・デル管弦楽団というオーケストラは、この演奏と一緒に収録されているピアノ協奏曲第2番の伴奏で初めて名前を目にしました。どんな団体かさっぱり見当もつかなかったので調べてみると、どうやらフィラデルフィア管のサマーシーズン中のポップス・オーケストラのようですね。つまりボストン響に対するボストン・ポップス管みたいなものでしょうか。実質的にはほぼフィラデルフィア管と考えています。(2007/4/14)


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