S.バーバー カプリコーン協奏曲

指揮ハワード・ハンソン
独奏フルート:ジョゼフ・マリアーノ(Joseph Mariano)
オーボエ:ロバート・スプレンクル(Robert Sprenkle)
トランペット:シドニー・ミーア(Sidney Mear)
演奏イーストマン=ロチェスター管弦楽団
録音1959年5月4日
カップリングピストン バレエ組曲「不思議な笛吹き」 他
発売マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
CD番号PHCP-10330(434 307-2)


このCDを聴いた感想です。


 バーバーというと、実は最近まで、有名な「弦楽のためのアダージョ」ぐらいしか聴いたことがありませんでした。
 そんなときに、このカプリコーン協奏曲をたまたま聴いたのですが、弦楽のためのアダージョとはだいぶ違った華やかさがあり、面白い曲という印象を受けたのです。
 このカプリコーン協奏曲という曲は、単独の楽器についての協奏曲ではなく、ソロ楽器は、フルート、オーボエ、トランペットがそれぞれ一本ずつ。伴奏も弦楽合奏のみというかなりシンプルな編成です。
 しかも3本登場するソロ楽器は、あまりソロ楽器っぽい動きをしていません。
 伴奏を圧倒するような難易度の高い激しい動きなどほとんど無く、ソロがあってもせいぜい交響曲のソロ程度のものです。
 一応、管楽器以外にもまれにソロ・ヴァイオリンがソロ的な扱いを受けることもあるのですが、ソロ楽器が単独で登場することは少なく、ほとんどの場合は、楽器個人のテクニックを披露というよりも掛け合いやハーモニーなどのアンサンブルを聞かせるほうがメインで、協奏曲というよりも、多少管楽器が増強された弦楽オーケストラが普通に管弦楽曲を演奏しているように聞こえます。
 曲の構成は、協奏曲の典型的なスタイルである3楽章形式で、しかも第1楽章が他の2つの楽章を合わせたぐらい長いという点では、まことにオーソドックスといっても良いのですが、そもそも全楽章を通した演奏時間が15分程度しかありません。まあかなり小規模な協奏曲ですね。
 しかし、編成が小さく演奏時間が短い割には、あまりこじんまりとした印象は受けません。
 その理由の一つとしては、伴奏が弦楽合奏といえでも、室内管弦楽団のような小規模のなものではなく、おそらくフル編成のオーケストラ並みの大人数の合奏であること(もしかしたらこの演奏だけなのかもしれませんが)。なによりトランペットの存在が大きく物をいっています。
 たしかにトランペットがあるといっても1本ですし、金管楽器自体そのトランペット1本しかないのですが、それでもトランペットがフォルテで入ってくると、それだけで雰囲気がパッと華やかになり、まるでブルックナーのような3管編成のオーケストラ――とまで言ったら言い過ぎでしょうが、一瞬そう思わせるぐらい、響きが厚い、力強い音楽に聞こえます。
 メロディーは、一部、12音音楽を思い起こさせるような無調的な音階も登場しなくは無いのですが、ゆったりとした部分で多少出てくる程度で、他の部分、特に速いテンポの部分は、明快で耳に馴染みやすいものです。
 メロディーが明快な分、複雑なのはリズムで、こちらは同じ拍子のまま進んでいく方が少なく、楽譜上はわかりませんが、耳に聞こえる限りでは、変拍子が頻繁に出てきて、なかなか一筋縄ではいかない、趣向を凝らした部分が次々と登場してきます。
 全体の雰囲気は、特に第3楽章辺りで感じられるのですが、竹を割ったようにスカッとして屈託無い、乾いた軽い響きで、ロシアのイメージの暗くジメジメと湿った重苦しい響きとは正反対の、わたしがアメリカの音楽の典型的なイメージとして考えている、希望に満ちた明るい音楽です。
 わたしは、アメリカ音楽のこういう明るさが大好きなんです。

 ちなみに、表題の「カプリコーン」というのは、十二星座の一つである山羊座の名前なので、わたしも、当然、音楽が山羊座にちなんだ何かなんだろうと勝手に想像していたのですが、実はこの「カプリコーン」というのは、単にバーバーの山荘があるニューヨーク州の地名からとっているだけで、少なくとも直接は山羊座とは何の関係もありませんでした(地名の由来まではわかりませんが)。
 まあ、知ってしまえば「なーんだ」というレベルの話ですね。(2004/3/27)


サイトのTopへ戻る