指揮 | ハンス・クナッパーツブッシュ |
演奏 | ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 |
録音 | 1953年5月 |
カップリング | ワーグナー 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第一幕への前奏曲 他 ワーグナー名演集の一部 |
販売 | キングレコード(DECCA) |
CD番号 | 250E 1183 |
ワーグナーの演奏には定評のあるクナッパーツブッシュの演奏です。 この演奏、ベースとなるテンポはそんなに遅いわけではありませんが、途中で嘘のように急にテンポが遅くなる部分があるのです。 そのテンポの変更は聴いていてはっきり不自然に感じるほどで、非常に目立ちます。 ところが、驚くべきことに遅くなったテンポはいつの間にか元々のテンポに戻っているのです。 実は、曲が始まったときのテンポと終りのテンポは、聴いた際に受ける印象よりは思ったよりも違いがありません。 聴いているときは、ガクンと遅くなった部分が目立つので、このままどんどんテンポが遅くなって間延びして行ってしまうんじゃないだろうか、と考えてしまいますが、さりげなく元のテンポに戻していくことで、緊張感を保っていられるのではないかと思います。 曲の性質もあって、機敏でスパッと竹を割ったようなキレのある演奏というわけには行きませんが、スケールの大きい、人を圧倒するような迫力を持った演奏です。 クナッパーツブッシュという指揮者は、スケール大きいが、即興性が強く、一発勝負のような演奏をするというイメージがありましたが、この演奏を聴くと、スタジオ録音ということもあるのでしょうが、聴衆のことを考えた、非常に計算された演奏をすることができる指揮者ということがわかりました。 録音の方は、1953年ということを考えるとちょっと落ちるような気がします。 いや、もしこれがDECCA以外の会社が録音したんだったら、水準を遥かに越えた録音と言ってもいいのですが、あれだけ素晴らしい録音を残したDECCAであれば、もっと細部までハッキリ分かる、もっと音に拡がりがある録音ができたんじゃないかと思うのです。 まあ、このCD自体が古い発売なので、今はもっと良いリマスタリングがされているかもしれません。(2000/9/29) |