指揮 | ニコライ・ゴロヴァーノフ |
演奏 | 全同盟ラジオ・テレビジョン大交響楽団 |
録音 | 1951年 |
カップリング | ワーグナー 歌劇「リエンツィ」序曲 他 |
販売 | BMG(Melodiya) |
CD番号 | 74321 59474 2 |
「CDが音跳びでもしたかと思いました」 曲の頭の部分を初めて聴いたときの感想です。 だって、最初のアウフタクトの音がずーっと伸びてるんですよ(笑) まさかここまで強烈なテンポだとは思いませんでしたね。 とにかく倒れそうなぐらい遅いです。 ……わたしも、クナッパーツブッシュのミュンヘン・フィルとかの演奏で遅い演奏は慣れたかと思ってましたけど…… ………甘かったです。 ほとんど『ギネスに挑戦!』の世界です。 この遅いテンポがアレグロに入ると、一変して急に無闇に速いテンポに豹変します。 ……うーむ…ソヴィエトには『中くらい』とか『徐々に』とかいう概念は無いんでしょうかね?(笑) 全員が狂ったような勢いで演奏しています。 当然、途中でテンポが動く場合も、極端から極端に流れます。 微妙な変化などというまどろっこしい事なんてやってられません。 ダーッと速くして、ドカッと遅くする。 これですよ。これ。(笑) もちろん、金管はバリバリです。 特に巡礼の動機の部分のトランペットとトロンボーンがモロなのですが、 いかにも「ウォッカ飲んで一丁やったるで〜」という感じで(……どんな感じだ(汗))、響き一切無しの、ビリビリ来るような楽器の音だけでこちらに迫ってきます。 しかも、当然のようにガンガンにビブラートをかけています。 巡礼どころか、間違えて歌舞伎町にでも行ってしまいそうな勢いです。 まあ、一度聴いたら二度と忘れないような強烈な音色でしょう。 さらに、アクセントは重く鈍くが基本です。 『ズンッ』と来るタイプで、後からジワジワ腹に響いてきます。 まるで象の一踏みといった感じで、とりあえず安定感は抜群です。 ところで、これだけ極端なテンポをして、荒っぽい音色で吹いているのですが、アンサンブル自体は、実は結構緻密です。 極端なテンポ変化にキチンとついて来られる時点で、実力があることはある程度わかるのですが(……さすがにあまりのテンポの変化について来られなかった部分もありますが…)、注意して聴いてみると、ハーモニーといい、ニュアンスといい、ちゃんと揃っていることがわかります。 録音が1950年代とあまり良くありませんので、フォルテ部分だとわかり難いのですが、ピアノ部分では、しっかりとしたアンサンブルを聴き取ることができます。 でも、どうしても緻密なアンサンブルよりも音色と極端なテンポ設定に耳が行ってしまうのは……しょうがないですよね〜 やっぱりそっちの方が目立ちますからね(笑)(2001/6/22) |