R.ワーグナー 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第一幕への前奏曲

指揮ヴォルフガング・サヴァリッシュ
演奏バイエルン国立管弦楽団
録音1980年11月23日
カップリングヴェルディ 「運命の力」序曲 他
発売ORFEO
CD番号C 161 871 A


このCDを聴いた感想です。


 ズッシリとした低音を土台にガッチリとしたハーモニーを聴かせてくれる演奏です。

 オルフェオの録音が比較的響きを多めに録っているせいもあるのですが、終始分厚い響きの中で音楽が進んでいきます。
 この響きが低音主体であるため、いかにも『ドイツ!』といった雰囲気で、非常に安定性が良く、さらに暖かいため、まるで黒檀の家具のような重厚さがあります。
 この響きにはオーケストラの配置も大きく貢献しています。
 サヴァリッシュは、昔ながら配置である対向配置(弦楽器が下手からVn.1,Vc,Vla,Vn.2と並ぶ並び方)を採用しているため、前面にヴァイオリンの幕がかかり、奥から低音が響いてくる形になり、響きに立体感が出ているのです。
 ただし、その分弊害もあり、1stヴァイオリンの端と2ndヴァイオリンの端とでは非常に距離が離れてしまうため、アンサンブルに僅かにズレが生じてしまっています。

 このバイエルン国立管と同じミュンヘンに本拠を置いているバイエルン放送交響楽団の当時の常任指揮者であるクーベリックも、偶然にも対向配置を好むのですが、さすがにバイエルン放送響の方はアンサンブルが乱れたりすることはありません。やはりどうしてもオーケストラの実力差が出てしまいますね。

 しかし、木管楽器の音色等はバイエルン放送響とよく似ており、「やっぱり同じ南ドイツのオーケストラなんだなぁ」と思わず納得する点もあります。
 ……これで、実はこのときの録音には、バイエルン放送響のメンバーがエキストラで参加していた、な〜んてことだったら笑ってしまうのですが……


 余談ですが、わたしはこの曲を10年ぐらい前の大学時代に演奏したことがあります。
 その際に、演奏の参考のために、上野の東京文化会館の音楽視聴室に一日篭もって、おいてあるだけのこの曲の演奏を全て聴いたことがありました。
 まあ、大学生という暇を持て余している身分だからこそできた話ですが……(笑)
 その時に、ただ聴いているだけでは飽きてしまうので、せっかくだから評価しながら聞いていくことにしました。
 たしか、○一つから三つと、△と×の5段階評価でつけたと思います。
 全部で20数曲聴いた中で、満点の○三つをつけた演奏が二つあり、そのうちの一つがこのサヴァリッシュとバイエルン国立管との演奏だったのです。
 サヴァリッシュには、もう一つPHILIPSに録音したウィーン響との演奏もあったのですが、そっちは今一つだった記憶があります。
 ちなみにもう一つの満点をとった演奏ですが、それはレーグナーの演奏でした。
 うーん……この頃から既に個人的な趣味丸出しですね(笑)
 ついでに、○二つを取った次点は、シノーポリとクナッパーツブッシュとライナーとスタインバーグだったと思います。
 ……すみません。評価表はとっくの昔に捨ててしまったので、かなりあやふやな記憶ですが……
 半分イロモノみたいなオットー・ゲルデス(グラモフォンのプロデューサー。カラヤンのレコーディングで著名)の指揮の演奏も、意外と良かったような覚えがあります。

 実は、数多く聴いたレコードの中で、たった一枚だけ5段階評価のどれにも該当させることができなかった演奏がありました。
 それは……ゴロヴァーノフの演奏です。
 とても5段階の評価の枠に収められるような演奏ではありません。よって「評価不能」(笑)
 残念ながら、この演奏は現在ほぼ入手不可能です。
 わたしもここ5〜6年ずーっと探し回っているのですが、未だに見つかりません。とても残念です。(2001/8/3)