R.ワーグナー ヴァルハラへの神々の入場 〜楽劇「ラインの黄金」より〜

指揮アルバート・コーツ
演奏ロンドン交響楽団
録音1926年1月26日
カップリングリスト ハンガリー狂詩曲第1番 他
「Albert Coates conducts volume.II」の一部
発売KOCH
CD番号3-7704-2


このCDを聴いた感想です。


 以前書いた、ムックのローエングリン第3幕への前奏曲よりは電気録音であるだけまだ大分マシとはいえ、この録音もおよそワーグナーを聴くには不向きと思われるぐらい古い録音です。
 しかし、意外なほど雰囲気は良く伝わってきます。
 冒頭の、霧を表すモワモワとした厚ぼったい音。そこに割って入るホルンのメロディーは、いきなり音を外していたりしてちょっとカクッとくるのですが、だんだん盛り上がって行き、その頂点で雷神ドンナーの槌の一撃(トゥール・ハンマー)。その9億2400万メガワットのエネルギービーム――じゃなかった、音は、貧弱な録音にもかかわらず、鋭くバシッと決まっていて、いかにも霧を打ち払ったような雰囲気が感じられます。
 それに続くヴァルハラ城のテーマは、音が分厚く、なにより悠然としていて、スケールが大きい音楽になっています。
 コーツの演奏というと、活力に溢れているのですが凄まじいスピードで突進する音楽というイメージがあったのですが、この演奏では、ゆったりと構え、決して急かしたりしません。
 オーケストラも上記のホルンが音を外したミスはあったものの、他はそう大きな問題は無く、自信を持って弾いています。この演奏ではないのですが、同じCDに収録されている他の曲では結構技術的に怪しげな演奏もあっただけに、とても上手く聞こえ、安定感がありました。
 考えてみれば、ロンドン響というオーケストラは、初代の主席指揮者からして、ワーグナーの演奏に定評があるハンス・リヒターでした。この録音はハンス・リヒターが振っていた頃から、まだ十数年程度しか経っていないのですから、その頃のことを覚えている人も少なくないでしょうし、そういう伝統の力によるものもあるのかもしれません。
 録音の方は、雰囲気は良く伝わってくるのですが、さすがに細かい弦楽器のウネウネとした動きなどは大分埋もれてしまっています。
 さらに個人的に非常に残念だったのは、一部の金管のバランスが非常に弱い点です。
 ヴァルハラのテーマを演奏するホルンのようにメロディーを演奏するパートは十分に音量が出ているのですが、その一方で「タン、タカタタン」といったトランペットの合いの手のリズムは、最後の方のフォルテの部分を除いてほとんど聞こえないぐらい弱く演奏されています。
 メロディーとのバランスや、録音上の制約などである程度仕方ないというのはわかっているものの、わたしはこういうファンファーレ風のリズムが大好きなので(そういえば以前メンデルスゾーンのエリアの時も同じ事を書いた覚えが(汗))、もう少ししっかり鳴らして欲しいなあ、と思いました。(2004/3/20)


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