R.シューマン 交響曲第4番 ニ短調

指揮ヨーゼフ・クリップス
演奏ロンドン交響楽団
録音1952年11月
カップリングモーツァルト 交響曲第39番 他
「Historic Decca Recordings 1950-1958」より
発売DECCA
CD番号473 121-2


このCDを聴いた感想です。


 迫力に圧倒されたり飛び抜けて鋭い音だったりといった、目立つ特徴はありませんが、中規模ながらまとまりが良く、なかなかキレもある演奏です。
 5ナンバーの普通のセダンながら、ハンドルの反応が鋭く小気味良い走りの出来る乗用車といったところでしょうか。
 録音がモノラルということもあって(1950年代ですから音自体はそう悪いわけではありません)、響きにあまり拡がりが無く、音色もどちらかというとモノクロに近く、華やかさに欠けますがその分全体で統一感があります。
 テンポもほぼ一定に保たれ、メロディーも大きく歌うというよりもキレ重視で直線的に真っ直ぐ進んでいきます。見せ場だからといって重くアクセントをつけたりといった演出はほとんどやっていません。
 例えば、第1楽章なんかでは、同じパターンを低音から高音に向かって順番に繰り返して盛り上げて行き、1stヴァイオリンで頂点を築く音型がよく登場しますが、その盛り上げをことさら強調するようなことはしません。代わりにテンポを保ってキレ良く演奏することで、音楽がその頂点で一度終わってしまうのではなく、まだ先へ続いていく横の流れをより感じられるようになっています。
 まあ、そういいながらも、ごく一部ではテンポを急に遅くして妙に強調している部分もあったりしますが。
 全体としてはテンポの良さとキレが魅力の演奏ですが、第2楽章だけはかなりメロディーを歌いこんでいます。
 ここだけはテンポをいくぶん伸び縮みさせて、表情も大きくつけた力の入った表現です。
 遅いテンポということもありますが、ここでは伴奏がテンポを保ってその上にメロディーが乗るのではなく、あくまでもメロディーの歌が主体で、伴奏がメロディーを追いかけて陰から支えています。
 他の楽章が動きの良さが魅力で、機能的なのに対して、この第2楽章だけはロマンティックな面を前面に押し出しています。
 それぞれの楽章の特色を生かしていて、全体を通しては、バランスがとれてしっかりと締まった気持ちの良い演奏です。(2006/4/22)


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