R.シューマン 交響曲第4番 ニ短調

指揮グィド・カンテルリ
演奏フィルハーモニア管弦楽団
録音1953年5月15・21日
カップリングブラームス 交響曲第3番
発売EMI
CD番号CDH 7 63085 2


このCDを聴いた感想です。


 音にキレのある演奏です。
 といっても、単に音を短く切っているだけではありません。
 わたしは『キレ』というものは、音を短く切りながらも、音同士のつながりを良くすることで生まれてくると思っています。
 あまり短く音を切りすぎてもそれぞれの音がバラバラでつながりがなく、詰ったような感じになります。
 かといって、音の終わりが長すぎると、今度は締まりの無い演奏になってしまいます。
 このカンテルリの演奏は、そのバランスが上手くとられています。
 音を短めに切っていても余韻は後ろに残り、それが速いテンポに乗って次の音へとどんどんつながっていき、全体として真っ直ぐな一本の流れになっています。
 このつながった流れがあるため、突き進むようなスピード感もありますし、あまりに音を短く切りすぎた演奏よりもむしろリズム良く聞こえます。
 こういうメロディーとリズムがはっきりとした演奏は、コントラストがついて気持ちよく聴けるのですが、くっきりはっきりしている分、柔らかさが少し足りないと思うところもあります。
 第2楽章なんかは、たしかにメロディーをゆったりと歌わせているのですが、メロディーの線があまりにも鮮やかで、まるで隅々までスポットライトで照らしたみたいにくっきりと浮かび上がっています。なんだか堂々としすぎていて、個人的には、もう少しモヤモヤとした、霧の中のような幻想的な雰囲気が欲しいところです。
 これが、第3楽章になると、曲の雰囲気にピッタリ合っています。
 もともと冒頭のフォルテで演奏されるメロディーからして、キレの良い演奏に向いたメロディーなので、くっきりとした音とリズムにより高い緊張感と迫力を生み出しています。
 このフォルテで始まったメロディーは途中でいったんピアノに落ち、また中間部の前で冒頭と同じフォルテに戻りますが、面白いことにその途中でいったん落ちるピアノの部分のメロディーは、速いテンポで音を切って演奏しているのに、第2楽章よりもむしろ柔らかく幻想的な雰囲気があります。
 冒頭の硬いフォルテのメロディーと対比になっているためもあるのでしょうが、短く切った音の余韻を残しながら次の音へとつながり、小さく跳ねるような感じで、なかなか可憐です。
 第1・4楽章は、そのスピード感とリズムの良さが素晴らしいのですが、実は第4楽章は、速いテンポに入ってからしばらくは今一つスピードに乗り切れていません。どうも後ろに引っ張られるようなところがあり、もどかしくなってきます。
 しかし、それも初めのフォルテの部分が過ぎていったんピアノに落ちる辺りから次第にテンポに乗ってきて、後半はテンポとメロディーとリズムが一つにまとまり、非常に白熱して行きます。
 さらに、伴奏が上に向かう音階を次々と駆け上っていく部分は、まさにロケットのように急上昇する気分ですし、テンポが急に速くなる終結部(Presto)の、少し前に登場するビオラなどのゆったりとしたメロディーも、大きく流れるように歌わせていながら、伴奏の後打ちを硬く入れてスピード感や緊張感を決して落とさないようにしていたりと、聴き所が後から後から登場します。
 その他にも、空に抜けるような輝かしいホルンの音色など、細かく見ればいろいろありますが、そのベースにはキレの良さがあり、全体的な印象としてはやはり『爽快感』これに尽きると思います。(2004/9/18)


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