R.シューマン 交響曲第4番ニ短調

指揮ポール・パレー
演奏デトロイト交響楽団
録音1953年12月26日
カップリングR.シューマン 交響曲第1番<春> 他
交響曲全集の一部
販売Mercury
CD番号462 955-2


このCDを聴いた感想です。


 シューマンというと、よく言えば繊細、まあ早い話が『病弱で今にも倒れそうな物憂い雰囲気な青年』といったイメージがあるのですが(わたしだけかもしれませんが)、この演奏はそんな先入観を思いっきり打ち砕いてくれました。

 このシューマンはマッチョなんです。

 鍛えぬかれた筋肉を持っているんです。

 パンチ(アタック)は、一撃で岩をも破壊してしまいそうです。

 実を言うとシューマンで筋肉質の演奏というのは、確かに数は少ないとはいえ、今までお目にかかったことが無い訳でも無いのですが、単に筋肉質というだけでなく、ここまで圧倒的な破壊力を誇る演奏というのは、初めて聴きました。
 なんというか『暴力的』という言葉を当てはめたくなります。
 アタックが、単に「硬い」とか「鋭い」とか「激しい」だけではなく、聴いている者を無理矢理にでもねじ伏せてしまうような圧倒的な力を感じるのです。
 相手を納得させるのではなく、力で強引に抑えつけるところは、『正義の力』というより『悪』というイメージです。
 しかもこの『悪』は、各自バラバラに自分勝手に行動しているのではなく、内部では鉄の規律により完全にコントロールされているかのようにビシッと揃っています。
 なんだか、アメリカのマフィアとかそういった強固な結束を誇る犯罪組織を髣髴させます。

 基本的に第1・3・4楽章は、全編こんな圧倒的な雰囲気で突き進んでいきます。
 ところが、そうなると可哀想なのは第2楽章で、あまりに他の楽章の印象が強烈過ぎて、ありふれた演奏に聴こえてしまうのです。
 実は第2楽章だけ聴いている分には情緒たっぷりに柔らかくメロディーを歌わせた良い演奏なのですが……(ちょっとテンポは速いですけど)
 本当に結構いい演奏なんですけどねぇ……
 まあ、その代わり第1・3・4楽章は、記憶に一発で叩き込まれるぐらい強烈です。

 でも、パレーってこういう指揮者でしたっけ?
 この演奏は、おそらくパレーの演奏の中でも、最も特異な演奏の一つではないでしょうか。
 実は、この演奏は、交響曲全集の一部なのですが、他の第1・2・3番の演奏はここまでキツイ演奏ではありません。
 4曲の中でこの第4番の録音が一番古いので、曲に合わせて雰囲気を変えたのでなければ、パレーの芸風が大人しくなったのでしょうが、わたしとしてはちょっと残念です。
 この第4番のノリで他の3曲も演奏して欲しかったものです。
 あっ、でも、もう一つの可能性として、録音状況の変化があります。
 録音年代の関係で、第1・2・3番はステレオなのに、第4番だけモノラルなのですが、かえってモノラルな分だけ音が締まって聞こえ、鋭さが増したのかもしれません。(2001/10/5)