R.シューマン 交響曲第2番 ニ長調

指揮ベルナルト・ハイティンク
演奏アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音1984年1月
カップリング「シューマン 交響曲全集」の一部
発売PHILIPS
CD番号416 126-2


このCDを聴いた感想です。


 調和と躍動。この二つがこの演奏の特徴です。
 まず調和の方ですが、冒頭のゆっくりとした部分がまさにその典型です。
 音量のバランスが良く縦の線が揃っているのはもちろんのこと、なにより弦・管・打楽器それぞれが自らの音色や動きをしっかりと出していながら、一つだけ突き出たり角張ったりせず、全体が一つの丸い響きとして溶け合っているのです。溶け合うといっても、決して煮込みすぎたスープのように何の材料が入っているかもわからなくなるぐらいドロドロと混ざり合っているのではなく、お吸い物のように、それぞれの具は汁の中でハッキリと見えていながら、全体では大きく統一感があります。
 個々の音色が絶妙なバランスで重なり合い、互いに引き立てあうことで大きく一つにまとまった響きはまさに調和の世界です。乱すものは一切無く、全てが穏やかに安定しています。
 一方、冒頭のゆったりとした序奏から進み、しだいにテンポが速くなり、アレグロの呈示部に入ってくると、今度は躍動感が出てきます。
 テンポは意外と速く、音を短めにスパッと切ることで、スピード感とリズム感を出していますが、音の出だしであるアタックはそれほど鋭くありません。
 たしかに、ここぞという部分では硬くアタックをつけますが、特に強調したい時だけで、一つ一つの音は、フワッとではなくしっかりとは出ていますが、衝撃を感じるくらい鋭くは無いのです。
 その代わり、強弱の変化を極端に、しかも急激に変えています。
 一気にクレッシェンドして、次の瞬間には潮が引くようにさっと引っ込むことで、音楽に動き、つまり躍動感をつけているのです。アタックが硬くならないようにすることで、音楽が荒く聞こえるの防ぎ、その一方で強弱の急激な変化による動きをつけることで、綺麗だけどのっぺりとした演奏とならずに、次々と変わっていく豊かな表情が生まれています。
 こういった調和と躍動は、第1楽章のように別々に聞き取ることもできますが、たいていは両方が上手く組み合わさっています。
 自分が好きという事もありますが、第2楽章スケルツォのトリオはそれが最も良い形で結びついているのではないかと感じました。
 第1トリオでは、それまで主部の激しい動きのスピード感だけそのまま活かし、リズムは軽快に、しかもそのリズムが全体では軽く柔らかい響きの中の一つとして調和しています。
 第2トリオは、逆に激しい動きが一転して柔らかく大きく広がる響きになり、リズムが一瞬止まったかのような空間の中から、自然にリズムが軽く跳ねるように生まれてきます。
 調和と跳躍以外の、例えばメロディーの歌い込みについて言えば、たしかにしっかりと歌ってはいます。しかし、感情を直接ぶつけたようなのめり込むほどの歌い込み方ではありませんし、あくまでも全体での調和が先にあり、それを乱さないような歌い方です。
 逆に、全体での強弱の変化で表情はついているのですから、そこでメロディーが歌い込んでしまうと、二重になってしまい表情が薄くなってしまうでしょうから、ちょうどよいところでしょう。
 個人的には、こういう節度の保った歌わせ方でちゃんと音楽にしているあたりが、いかにもハイティンクらしい上手いバランス感覚だと思います。(2007/2/17)


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