R.シューマン 交響曲第2番 ハ長調

指揮ハンス・フォンク
演奏ケルン放送交響楽団
録音1991年9月
カップリングR.シューマン 交響曲第1番<春> 他
交響曲全集の一部
発売EMI
CD番号7243 5 69370 2 4


このCDを聴いた感想です。


 もう一ヶ月以上も前(2004年10月からみて)のことですが、去る8月29日にハンス・フォンクが亡くなりました。
 フォンクは1942年生まれのオランダの指揮者で、スラトキンの後任としてセントルイス響の音楽監督に就任するなど、ハイティンク等の次の世代のホープとして期待されていただけに、62歳という指揮者としてはこれからの年齢で亡くなったのは非常に残念なことです。
 なんでも、かなりの難病で、ここ2年ほどはずっと闘病生活を送っていたようです。
 今年の7月にカルロス・クライバーが亡くなった時に比べて、マスコミの扱いは遥かに小さく、わたしも恥ずかしながらつい最近まで知りませんでした。
 フォンクのCDは、幸い1枚(1セット)だけは持っていたので、今回はそのCDを取り上げてみたいと思います。

 聴いて真っ先に感じたのが、明るさと軽さです。
 明るいといっても、原色系のギラギラした明るさではなく、もっと涼しげな、さわさわと流れていく風のように爽やかな明るさです。
 押し付けるようなアクの強さがないさっぱりした演奏と言っても良いでしょう。
 曲の冒頭のゆっくりした部分も、昔の演奏に多い、分厚い響きでいかにもこれから大曲が始まりますよといった堂々としたものではなく、風通しの良い軽い響きでさりげなく始まり、肩の力を抜いたリラックスした雰囲気です。
 速い呈示部に入ってからは、テンポとしてはそう特別速いわけではないのですが、響きが軽いためスピード感があり、音もあまり頭をハッキリ付けたり終わりをスパッと切ったりしないため柔らかく、音楽がのびのびとしています。
 メロディーの歌わせ方も、ゴテゴテと歌いこんだりせず、さらっと流すような感じで、自然をそのまま活かしたような新鮮で若々しいものです。
 こういう涼しげな音楽は、だいたい速いテンポの部分ほど上手く行っていて、第1楽章の速くなってからとか、第2楽章などは、非常に生き生きとした音楽になっています。
 第2楽章の速い動きも、さらっと流れるように演奏されることで軽くなり、とてもスマートな感じがしました。
 逆にゆったりとした第3楽章は、あまりにも爽やか過ぎて、ちょっと淡白かもしれません。
 大きくは歌いこまないのでどうしても引っ掛かりが無く、力を入れて欲しい部分でもスルッと抜けてしまい、今一つ物足りなくなります。
 その分、重苦しさがないので、その軽さをどう評価するかにもよりますが。
 あと、細かいところですが、ちょっと印象に残った部分があります。
 第4楽章の後半に出てくるオーボエの「ドレbミソラーbシラソ」というソロは、単純ながら哀愁があり、この曲の聴き所の一つだと思うのですが、この演奏はそのソロが明るく、哀愁がほとんどありません。
 哀愁が無いのはたしかに寂しいのですが、逆に考えると、哀愁が全てと思っていたそのソロに「抜けるような明るさ」という新たな一面がわかり、「そうか、こういう歌い方もなかなか良いものだ」と妙に感心したものです。

 今回取り上げたのは、シューマンの交響曲全集の一曲ですが、全4曲の中では、音楽がもっとも生き生きとしていたこの第2番が一番好きな演奏です。(2004/10/2)


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