R.シュトラウス 交響詩「ドン・ファン」

指揮ウィレム・メンゲルベルク
演奏アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音1938年11月8日
カップリングR.シュトラウス 交響詩「英雄の生涯」
販売TELDEC
CD番号9031-76441-2


このCDを聴いた感想です。


 メンゲルベルクはリヒャルト・シュトラウスを得意としていたそうですが、録音は意外と残っていません。
 わたしの知る限りでは、「英雄の生涯」「死と変容」「ドン・ファン」の3曲だけです。
 でも、なぜか「英雄の生涯」と「ドン・ファン」に関しては2種類録音が残っています。
 そのため、3曲で5種類というなんとももったいない残し方です。
 もっとも、他の曲は演奏してなかったのかもしれません。ただ、マーラーと異なり、演奏を禁止されていたわけではないので、もっと演奏していても良いような気もしますが…

 「ドン・ファン」の残っている2種類の録音の中で今回取り上げるのは、1938年のスタジオ録音のほうです。
 もうひとつの録音は1940年ですが、こちらはライブ録音なのです。
 この2種類の録音とも基本的なアプローチは年代も近いこともあって、大きくは違っていません。
 一番大きく違うのは録音状態です。
 ライブ録音のほうは、ワン・ポイントで録音したように(本当にそうなのかはわかりませんが)、全体が大きなまとまりとして聴こえますが、その分こもり気味で、一つ一つの楽器は埋もれがちです。
 スタジオ録音のほうは、ちょうどその反対に、一つ一つの楽器の音ははっきりと聴き取れます。そのかわり統一感に欠けるようです。
 わたしは、一つ一つの楽器の音が細部まで聴き取れるほうが生々しくて好きなのですが、これは好みにもよると思います。
 雑音のほうは、両方とも気にしなくて良いレベルです。30年代終わり頃と40年代頭ですので、録音技術もそれなりに発展していたのでしょう。

 演奏は、テンポを遅くしたり速くしたりしている部分もあり、メロディーをかなり自由に歌わせています。
 ポルタメントも入れたりしていますが、芯が男性的なため、あんまり甘いといった印象は受けません。
 ただ、ヴァイオリンのソロにだけは、一人で演奏しているということもあり、かなり甘く感じますが…
 また、スラーやレガートの部分以外は、音をかなり短めに切っているので、テンポを揺らしたりなんだりしている割にはカッチリと演奏しているように聴こえます。
 さらに、メンゲルベルクの特徴なのかミキシングの関係かはわかりませんが、ティンパニーがバランス的にかなり大きめに入っています。そのため演奏がかなり締まっています。
 しかし、ここのトランペットは上手いんだか下手なんだかよくわかりません。
 速いパッセージをあっさり吹いたりする割には、音程が怪しかったり、かと思うとピアノになっても安定していたり…なんでしょうね(笑)。

 …そういえば、この「ドン・ファン」はスタジオ録音とライブ録音ですが、「英雄の生涯」は両方ともスタジオ録音なんですよね。ま、もっとも「英雄の生涯」は片方が、ニューヨーク・フィルハーモニック交響楽団で、2回の録音の間が10年以上離れているといった違いがありますが…(2000/5/26)