R.ハリス 交響曲第1番 <1933年の交響曲>

指揮セルゲイ・クーセヴィツキー
演奏ボストン交響楽団
録音1934年2月2日
カップリングハリス 交響曲第3番 他
「Koussevitzky conducts American Music」の一部
発売Pearl(Columbia)
CD番号GEMM CD 9492


このCDを聴いた感想です。


 ロイ・ハリスの出世作は、1937年に書かれて1939年にクーセヴィツキーとボストン交響楽団によって初演された交響曲第3番らしいのですが、交響曲第1番も、第3番と同様にクーセヴィツキー&ボストン響のコンビによって初演されています。その初演は、1934年の1月26日。この演奏は、そのちょうど一週間後、それこそ初演したてでまだ湯気の出ている頃の録音です。
 1934年ですから録音状態はかなり心もとなく、それほど細かい部分まで聞き取れるわけではないのですが、少なくとも聞き取れる範囲では、とても初演からまだ一週間しか経っていないとは思えないくらい、しっかりと整った演奏です。よほど事前にしっかり練習をしていたのか、頼りない部分や戸惑いが全くありません。
 曲の雰囲気は、初演の際にクーセヴィツキー曰く「アメリカ人による初めての本格的な悲劇的な交響曲(the first truly tragic symphony by an American)」(英文リーフレットから直訳)だそうですが、たしかに「悲しくて」「劇的」な印象を受けました。暗い曲調ではあるものの、かなり激しい曲なのです。そういう意味では「劇的」という要素の方がちょっと強めです。とはいえ、激しいのは全3楽章の中で、両端の第1と第3楽章で、第2楽章は、緩徐楽章ということもあって激しさは抑え目で、重く鬱々としています。
 第1・3楽章については、激しさと共に、印象に残ったのが畳み掛けるような繰返しです。
 1小節から長くても数小節程度の短いフレーズを何度も繰り返します。しかもフレーズとフレーズの間に他のフレーズを挟んだりせず、同じフレーズをこれでもかこれでもかと連続して重ねるため、強迫的な緊張感が生まれているのです。
 しかも、一つのフレーズを何度も繰り返して緊張感を高めるだけ高めると、今度は全く別のフレーズが登場し、今度はその新しいフレーズばかりを何度も繰り返して、また緊張感を高めていきます。
 あまりリラックスして聴くような曲ではありませんが、なんとも迫力があります。
 そもそも第1楽章の冒頭からして、いきなりティンパニーの乱れ打ちから始まり、そこに弦楽器の鋭い動きが絡まってきます。リズムも2拍3連符がブルックナー並にそこかしこに登場して不規則に変化を加えているため、混沌と活気が入り混じったインパクトのある幕開けになっています。
 一方、第2楽章は、両端楽章ほどの活気やリズムの入り混じりがなく、逆に一定のリズムが長く続く、かなり重い曲調です。
 楽章の初めの方は、暗く重い雰囲気の中で、低弦やティンパニーが1拍ずつ規則正しくリズムを刻んでいき、その上に、息の長いメロディーがゆっくりと流れます。なんだかレスピーギのローマの松のアッピア街道の松の冒頭を思い起こさせるような、重い足取りで一歩一歩進んでいく雰囲気で、ちょっと不吉な感じがします。
 メロディーも、息が長い割にはあまり歌い込むといったタイプのメロディーではなく、上下の動きは少なく、主役というよりも、リズムや伴奏同士の間をつなげる横糸みたいです。
 作曲者のハリスは、各楽章について、第1楽章は「The first movement is to portray the mood of adventure and physical exuberance;」とか、第2楽章は「the second, the pathos which seems to underline all human existence;」とか、第3楽章は「the third, the mood of a positive will to power and action」(一応日本語訳をしてはみたのですが、どうみても間違いだらけだったので諦めてカットしました)と、解説していますが、聞いていると、何か特定の事について描写した音楽にはあまり聞こえず、むしろ純音楽的な曲という印象を受けました。(2007/12/8)


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