指揮 | コンスタンティン・シルヴェストリ |
演奏 | ボーンマス交響楽団 |
録音 | 1963年2月22日 |
カップリング | レスピーギ 交響詩「ローマの松」 |
販売 | BBC Music |
CD番号 | BBCL 4007-2 |
さて、いきなりですが、この演奏の一番の聴き所はクライマックスです。 この曲の第4楽章のクライマックスは、弦楽器や木管楽器が細かい動きを繰り返しながらだんだん盛り上がって行き、最高に盛り上がった瞬間に木管楽器全体とホルンだけがフォルティッシモ(ホルンだけはフォルテ)でコラールを奏で、それにオルガンが分厚く支えることで、圧倒的な迫力のある響きを生み出しています。 以前感想を書いたムーティの演奏では、オルガンが木管楽器の響きを消すことなく黒子に徹することで調和されたバランスを生み出していたのですが、この演奏では違います。 シルヴェストリは、なんと管楽器群をカットして、オルガンだけにしているのです。 聴いている方としては、この部分でそれまでの管弦楽の世界からオルガンの世界に急に一変するため、まるでコンサートホールから一瞬にして教会に舞台が移ったかのように感じられ、強い衝撃を受けます。 しかも、オルガンだけなので非常に荘厳な雰囲気になり、他の人の演奏よりも遥かに強烈で忘れることの出来ない印象を植え付けられるのです。 この印象があまりに強烈なために、オルガンが出てくるよりも前の部分がどうであったかすら忘れてしまいそうになるほどです(笑) ただ、一つ惜しいのはテンポです。 このコラールは、都合二回出てくるのですが、二回目は一回目のコラールの後、弦楽器が入ってきてもう一度盛り上げてから、一回目よりも一段階上がった状態として登場します。 この二回のコラールは楽譜上は一見、二回目の方が一つの音の長さがかなり短くなったように見えるのですが、拍の取り方が変わっただけで実は同じ長さです。 この演奏では、一回目のコラールは十分に長さを保った程よいテンポなのですが、二回目の方は何故かテンポが大幅に速くなっています。 そのため、音が十分に伸びきっておらず、寸足らずのような印象を受けてしまうのです。 一回目のテンポが良かっただけに、この部分で速いのは非常に残念でした。 全体的な印象としては、いくぶん硬めのように思います。 例えば管楽器の音にしても、華やかさやリラックスした雰囲気は無いものの、締まっていて、緊張感があります。 また、メロディーもあまり歌い込むことはしないで、抑え目の表現にしています。 しかし、抑え目ばかりではなく、出すべきところではちゃんと出しています。 第4楽章なんかは、タンバリンやシンバルなども打楽器を効果的に使い、ノリの良い音楽を創り出しています。 さらに、いかにもライブの演奏らしく、バランス的にメロディーが弱くなるところでは、金管楽器で補強したりもしています。 ……オルガンの部分の話に較べて、全体の印象が短いのは、まあ、インパクトの差と考えてください(笑) わたしにとって、この演奏はやはりオルガンが全てなのです。(2002/1/11) |