P.I.チャイコフスキー 交響曲第6番 ロ短調 <悲愴>

指揮アレクサンドル・メリク=パシャエフ
演奏ボリショイ歌劇場管弦楽団
録音1956年
カップリングスペンディアロフ エレバン・エチュード 他
発売BMG(Melodiya)
CD番号74321 59478 2


このCDを聴いた感想です。


 1950年代のソヴィエトの演奏なので、金管がバリバリに音を割った豪快な演奏を予想していたのですが、意外や意外、ずいぶんコントロールの利いた演奏でした。
 わりと速めのテンポでスタスタと進んで行き、形がしっかりと整っています。全体としてはスッキリとした演奏と言ってもよいぐらいでしょう。
 オーケストラの音色自体は、やはりソヴィエト系で、ビブラートをかなり効かせたり、金管も平らでベタッとした音色ですが、あまりパワー一本槍で押したりはせず、全体の雰囲気を壊さないように抑え気味にしています。もちろんここぞというところで大きくパワーを開放していますが、それでも無制限に出せるだけ出して個々の楽器の音色が丸出しになってしまうことはなく、全体としての統一感は保たれています。
 やりたい放題やった豪快な演奏を期待すると当てが外れると思いますが、ムラヴィンスキーとレニングラードのコンビほどではないにしても、ソヴィエト系の音色でなかなか引き締まった演奏という良さがあります。
 ただ、残念なことにオーケストラの技術は今一つのようで、個々のプレイヤーの技術はともかくオーケストラとしての合奏能力はちょっと怪しげです。テンポの変わり目の音の頭が揃わないのはある程度仕方が無いにしても、何小節かに渡って管楽器と弦楽器でずれてしまっているのは、かなりどうかと思いました。まあ、それだけ夢中になって演奏していたということでしょうか。
 全体としては速いテンポでテキパキと進むすっきりとした印象を受けますが、メロディーは結構情熱的に弾いていますし、テンポも実はそれなりに伸び縮みさせています。
 メロディーを歌っていても、ここぞという部分を強調したりといった劇的な演出をしていないため派手さはありませんが、よく聞くとちゃんと力が入っています。悲愴感を前面に出すのではなく、前向きで自信を持って進んでいこう、という雰囲気の歌い方です。
 暗さはあまり無く、第4楽章なども短調であっても、絶望や憂鬱さよりもむしろ希望や積極性を感じました。

 録音状態は、1956年としてはまあまあといったところでしょう。おそらくスタジオ録音ですが、1950年代後半といえどもソヴィエトですから当然モノラルです。それでも雑音は少なく響きの広がりはなかなかあります。これでフォルテで音が割れ気味でなければさらに良かったのですが、まあ許容範囲だと思います。(2006/4/8)


サイトのTopへ戻る