指揮 | ジャン・マルティノン |
演奏 | ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 |
録音 | 1958年4月 |
販売 | キングレコード(DECCA) |
CD番号 | KICC 9205 |
作曲家はロシア、指揮者はフランス、そしてオーケストラはオーストリアと、てんでバラバラな取り合わせのため、空中分解しそうなイメージがありますが、これがどうして、なかなかいい演奏です。 ロシア的な雄大さや暗さは感じさませんが、表情付けが細やかで、曲の美しさを存分に堪能させてくれます。 特にメロディーは、重くなったりくどくなったりしないギリギリのところまで歌わせているため、情感たっぷりでありながら、さわやかな印象を受けます。 このCDはジャケットが太陽が沈みかけている(もしくは昇りかけている)風景の写真なのですが、この黄昏ている雰囲気が、まさしく演奏の雰囲気(特に第1楽章)にピッタリ合っています。 ただ、第2楽章のメロディーは歌わせ方にちょっと癖があるため、わたしはとても気に入ったのですが、聴く人によっては抵抗感があるかもしれません。 また、この演奏は、録音のせいもあるのかもしれませんが金管のバランスが強く、ウィーン・フィルにしては珍しく金属的な響きがします。 第3楽章なんかは、メリハリがついてとても迫力があるのですが、柔らかな響きを想像していると、ちょっと違和感を感じます。 まあ、金属的といっても、ソヴィエト国立文化省管弦楽団ほどではありませんので(笑) わたしは、悲愴の演奏を十数種類くらいしか聴いたことはありませんが、この演奏は、その中でも最も好きな演奏の一つです。 この演奏を聴いてから、マルティノンという指揮者はけっこう注目するようになりました。(2001/2/4) |