P.I.チャイコフスキー 交響曲第4番 ヘ短調

指揮グィド・カンテルリ
演奏NBC交響楽団
録音1949年12月24日
カップリングG.F.ヘンデル オラトリオ「メサイア」序曲
「Guido Cantelli The NBC Broadcast Concerts - Dec.1949 - Jan.1950」の一部
発売TESTAMENT
CD番号SBT4 1306


このCDを聴いた感想です。


 これだけ、オーケストラの音が鳴り切っている演奏もなかなか無いのではなないでしょうか。
 弦楽器から管楽器まで全ての楽器が持てる最大限の力を発揮して、振動でバラバラに壊れるのではないかと思えるぐらい、ビリビリと震える太い音で響かせています。
 ここまで突き抜けた響きだと、聴いているだけで、全力を出し切った後のような爽快な気分になってきます。
 これは、音が大きいフォルテの部分はもちろんのこと、音が小さいピアノの部分でもその傾向に変わりはありません。
 たしかに、フォルテと違って音量も小さいですし、柔らかい音質です。
 しかし、無理やり抑えつけたり、縮こまったりしている雰囲気は全く無く、むしろ小さく柔らかい音を出すことに全身全霊を尽くしているかのような、心地よい緊張感がみなぎっています。
 ここまでくると、ほとんど、小物作りに命を懸ける職人さんのようなものです。
 ピアノの部分ですら、これだけで全力で音を出しているのですから、フォルテではさらに輪をかけて音を鳴らしまくっています。
 冒頭のホルンとトランペットのファンファーレからして、ほとんど音が割れる寸前まで楽器を響かせていますし、弦楽器も弓の先端から根元まで目一杯使いきって、弓の毛どころか弦まで切るぐらいの勢いで、鋭く弓を上下させているのでしょう。もちろん映像はありませんが、ほとんど、目の前に見えてきそうなほどの迫力です。
 曲の最初からそれだけ高いテンションなのですが、このハイテンションは最後まで衰えません。
 それどころか、恐ろしいことに、曲の終わりに向かってさらにヒートアップしていきます。
 曲の終わりに向かってヒートアップしていく演奏というと、以前演奏を書いたロジェストヴェンスキーのライブがありますが、この演奏はその演奏に十分対抗できます。
 そもそも、終盤でどんどんテンポを上げていって、そのまま最後の音に飛び込むという展開からして、ロジェストヴェンスキーの盛り上げ方と全く一緒です。いや、録音年月日からいうとこちらの方が先になるのですが。
 当然、聴いている観客の熱狂振りも、ロジェストヴェンスキーの時と同じで、最後の伸ばしの音が出ると同時くらいに、圧倒的な大歓声が沸き起こっています。
 ロジェストヴェンスキーの演奏はステレオで、この演奏はモノラルなのに同じくらいの熱狂振りに聞こえるということは、案外、こちらの方がもっと激しかったのかもしれません(笑)
 それにしても、よくまあこれだけ40分近い曲を全力で弾ききった上に、最後でさらにもう一段階盛り上げるだけの体力があるものです。わたしは、感心した……というより、それを通り越して呆れてしまいました。こりゃ、きっと別世界の住人ですよ。うん(笑)(2003/11/8)