P.I.チャイコフスキー 交響曲第4番へ短調

指揮ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー
演奏レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団
録音1971年9月9日
カップリングチャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲
販売日本クラウン(BBC RADIO CLASSICS)
CD番号CRCB-6044


このCDを聴いた感想です。


 頭のホルンからロシア……いや、当時はソ連ですか…っぽさが満喫できます。
 それに続いて出てくるトランペットがそれに拍車をかけています。
 突き刺すような音色、気持ちが悪くなるくらいのビブラート、圧倒的なパワー、全てが、ああロシアだなーって気分にしてくれます。

 このオーケストラはレニングラードフィルですが、常任のムラヴィンスキーではなく、ロジェストヴェンスキーが指揮しているため、いつもの怜悧さというのはちょっと影を潜めています。
 その代わり演出的な目を見張るような派手さは大幅にアップしています。
 これがレニングラードフィルのパワーとテクニックに裏打ちされて演奏されるため、圧倒的な迫力を生み出しています。
 それは、わたしたちが西欧のオーケストラで想像するような、調和とかバランスの良さとか、そういった評価基準とは全く別世界の住人の演奏です。
 「力こそ正義」まさしくこのキャッチフレーズを進呈したくなります。
 ところで、さっきからパワーパワーといっていますが、曲の間中ずっと力みっぱなしで演奏しているわけではありません。
 テクニックの裏付けの無いパワーオンリーでは荒さばっかり目立ってしまいます。また、フォルテばっかりでは聴いているほうはすぐに慣れてしまうものです。
 この演奏は、ダイナミクスを落とすところは極端に落として差をつけることで、フォルテをより一層際立たせているのです。
 また、ムラヴィンスキーとの意外な(?)共通点もあります。
 それは、一つのメロディーの中でもダイナミクスに大きく差をつけているところです。
 そのため、クレッシェンドとディミヌエンドが交互に頻繁に現れて、まるで波のようです。

 そして、この演奏の凄さは第4楽章でもっとも顕著に表れます。
 第4楽章の頭からおそろしくハイテンションです。
 その後すぐに出てくる弦楽器の細かいパッセージは、ムラヴィンスキーの指揮した「ルスランとリュドミラ」序曲の冒頭を髣髴させるほど、猛スピードでその上揃っているという、ほとんど恐怖感すら抱いてしまいます。
 頭からこんなハイテンションで大丈夫かなーって思っていましたら、恐るべきことに最後はそれに輪をかけたハイテンションになっていくという、人間やろうと思えば何でもできるんだなーっと思わず唸ってしまうような演奏です。
 これはロンドンのアルバートホールでのライブなのですが、観客も、最後の音が鳴っている最中からすごい歓声と拍手の嵐です。
 おそらくロックコンサート張りに総立ちになっていることでしょう。

 とにかく、感銘よりも何よりも、目の前で赤い布を振られた闘牛のように興奮を掻き立てられる、寝る前には間違えても聴いてはいけない演奏です。(2000/8/25)