P.I.チャイコフスキー 弦楽セレナード

第2楽章のみ

指揮ウィレム・メンゲルベルク
演奏ニューヨーク・フィルハーモニック
録音1923年4月26日
カップリングベートーベン 序曲「コリオラン」 他
The complete 1922-25 New York Philharmonic recordingsの一部
販売Biddulph
CD番号WHL 025-26


このCDを聴いた感想です。


 以前、やはりメンゲルベルクが指揮したチャイコフスキーの「弦楽セレナード」について書いたときに、最後の方でちょっと触れた録音です。
 1923年ですから、メンゲルベルクの録音の中でも最初期に入るでしょう。おそらく電気録音ではなく機械録音だと思います。
 当然のことながら音はよくありません。雑音もかなり入っています。
 しかし、楽器一つ一つの音は、意外なほど音色やニュアンスまでハッキリと聴き取れます。これは、以前紹介した「スラブ行進曲」よりよっぽど鮮明に聴こえます。
 ただ、確かに個々の楽器は鮮明に聴き取れるのですが、それぞれの楽器がバラバラに聴こえて来て、全然まとまって聴こえません。
 さらに言うと、響きのような空間的な広がりというものがほとんどありません。
 弦楽セレナードは編成がそんなに大きくないので、まだ大丈夫ですが、ロマンは後期以降の編成が大きい交響曲などはかなり厳しい状況です。

 さて、この演奏ですが、第2楽章のみの演奏です。
 現代から考えるとちょっと妙ですが、同時期の録音を集めたこのCDの曲目を見てみると、交響曲の一つの楽章だけだとか、ひどいのになると楽章の中のほんの一部とか、もっとひどいのになると、おそらく当時のSPの限界である5分以内に収まるように、曲をカットしまくってる録音まで入っていたりしています。たぶん当時はこういった曲の一部だけを録音することは、決して珍しいことではなかったのではないかと思います。
 メンゲルベルク自身も1928年にもう一度、第2楽章だけという録音をしています。ちなみにその時はニューヨークフィルではなく、コンセルトヘボウ管でしたが……
 この演奏のもっとも大きな特徴は、曲のタイトルが「弦楽セレナード」であるにもかかわらず、木管楽器が全曲にわたって活躍しているのです。
 もちろん原曲の編成にはそんな楽器は含まれておらず、編曲者(それがメンゲルベルク自身かどうかはわかりませんが……)が勝手に付け加えたものです。
 録音が録音なので正確に聴き取る事はできませんでしたが、聴いた限りにおいては、木管が単独で動くことはなく、かならず弦楽器の譜面を追っています。
 そこを考えると、録音時の補強という面もあったのではないかと思います。
 実際、録音技術があがった、これ以降の演奏は原曲どおり演奏……まあ、カットがあるので原曲どおりとは言えませんが、少なくとも楽器を増やしたりはしていません。
 まあ、理由はどうであれ、管楽器が入ったこの演奏を聴くと、これはこれで良いかな、というふうに感じます。
 というか、木管楽器奏者にとっては、あの「弦楽セレナード」が吹けるっ! というだけでも夢のような演奏という気もしますが(笑)(2000/7/7)