O.レスピーギ 交響詩「ローマの松」

指揮ルイス・レーン
演奏アトランタ交響楽団
録音1983年5月17日,1984年9月22日
カップリングレスピーギ 交響詩「ローマの噴水」 他
発売TELARC
CD番号CD-80085


このCDを聴いた感想です。


 細かい動きまでよくわかる、すっきりとまとまった演奏です。
 指揮をしているレーンは長年セルの下でクリーブランド管の副指揮者を務めていた人物で、オーケストラがメカニカルなテクニックでは定評のあるアメリカのオーケストラ、さらに録音が鮮明なので有名なテラークとくれば、聴く前から細かいところまでしっかり聴き取れるだろうと予想はしていましたが、まさしく期待通りの演奏でした。
 フォルテでも力押しでごまかしたりせず、各パートの動きを明確に見せながらバランス良くカチッとまとめ上げています。
 ただ、その反面、迫力では少し物足りないとも感じました。
 第1楽章の「ボルゲーゼ荘の松」なんかは、華やかさで十分カバーできるため迫力はそれほどなくても気にならないのですが、一番迫力の欲しい第4楽章の「アッピア街道の松」では、フォルテにはなっているのですが、バランスを重視しているため他の楽器を圧倒するような強烈なパートが無く、迫力はあまり感じられません。どちらかというと力強さではなく響きの美しさが重視されています。
 力強さとうい点では、その二つの楽章よりも、むしろ第2楽章の「カタコンブ付近の松」の後半のフォルテが最も迫力があったりしますが。
 逆に、ピアノの部分は単にまとまっているだけではなく雰囲気も感じられ、この演奏の魅了はこの部分にあるのではないかと思います。
 特に素晴らしいのが第3楽章の「ジャニコロの松」です。
「ジャニコロの松」の本来の想定は夜なんですが、この演奏は夜から薄っすらと空が白みかけてきたぐらいの雰囲気で、静けさの中に少しだけ明るく、決して日の出のように劇的ではない、落ち着いた夜明けが静かに近づいてくるかのようです。
 ここのクラリネットを中心とした木管のソロがその雰囲気の中核を担っています。
 このソロは、メロディーを歌わないと暗く夜のままですし、かといって歌いすぎると華やかで昼になってしまう。この中間をうまくとり、一見軽く流しているようで、実は静けさと明るさのバランスが取れた、情景がしみじみと浮かんでくるような歌い方をしています。
 それぞれの歌わせ方は絶妙で、わたしは、このソロだけでこの演奏を聴いた価値があったと思ったぐらいです。
 迫力や力強さよりもバランスの美しさを楽しむ演奏だと思います。(2005/3/12)


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