M.ラヴェル バレエ音楽「ダフニスとクローエ」より第2組曲

指揮セルゲイ・クーセヴィツキー
演奏ボストン交響楽団
録音1928年11月15日・12月20日
カップリングドビュッシー 「海」 他
発売Pearl
CD番号GEMM CD 9090


このCDを聴いた感想です。


 1928年録音という悪条件をものともせず、幻想的な雰囲気がよく伝わってくる演奏です。
 もちろん、細部なんてほとんどわかりません。演奏する方もメロディーラインを中心としたバランスで、バックは『最悪聞こえなくてもしょうがないか』レベルに留めてあります。
 しかし、このメロディーラインの歌わせ方の上手さで、そんなハンデをちゃんとカバーしています。
 その歌わせ方は、ゆったりとして非常に柔らかく、芯が詰まった音であるにもかかわらず余計な硬さが一切ありません。その上、あたかも無重力状態にあるかのような浮遊感まで感じられます。さらに、要所要所にポルタメントを使う事で、砂糖菓子のようなふんわりとした甘さまで兼ね備えています。
 一方、バックの伴奏も、バランス的には引っ込み気味で個々の楽器の音まではハッキリとは聞こえてこないものの、バック全体としては雰囲気作りに大きな役割を果たしています。
 録音の悪さから来る、細部のモヤモヤした感じが、逆に幻想的な印象を強めているのです。
 もちろん、ただそれだけが良いわけではなく、音色や音の出し方、ハーモニー全てに渡って、柔らかさと透明感があり、夢のように幻想的な雰囲気を演出するのに一役かっています。
 ただ、個人的に一つ惜しかったのは、録音の制約上メロディーラインを重視せざるを得なかったのはしょうがないのでしょうが、もう少しメロディーが弱い方が、より幻想的な雰囲気が出たのではないかと思います。
 まあ、これは好みにもよるのでしょうが(笑)

 それにしても、演奏しているボストン交響楽団の上手さには感心しました。
 1928年というと、クーセヴィツキーが首席指揮者に就任してまだ4年しか経っていないのですが、既に手足の如くコントロールできているようです。
 もちろん、前任者のモントゥーがある程度鍛えていたとは思うのですが、個々の楽団員の技術と合奏能力は高さはかなりのものでしょう。
 当時のボストン響といえば、『管のフィラデルフィア』に対する『弦のボストン』という謳い文句で知られていますが、この演奏を聴くと、評判の弦はもちろんの事、管楽器も弦楽器に匹敵するほどの技術力がある事がよくわかります。
 特に、同時代の他のオーケストラの演奏では多かれ少なかれ見られる不自然さが皆無で、全員がしっかりと自信を持って演奏していて、曖昧さや引っ掛かりを全く感じさせない点が強く印象に残りました。(2002/7/26)


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