M.ラヴェル バレエ音楽「ダフニスとクローエ」より第2組曲

指揮シャルル・デュトワ
演奏モントリオール交響楽団
録音1980年8月
カップリングボレロ 他
ラヴェル管弦楽曲集の一部
発売DECCA
CD番号460 214-2


このCDを聴いた感想です。


 わたしも「ダフニスとクローエ」の演奏をそんなに聴いたことがある訳ではありませんが、こんなに 雰囲気が感じられる「ダフニスとクローエ」を聴いたのは初めてでした。

 全てが透き通った水のように透明でありながら、霧の中のような幻想的な雰囲気に充ちています。
 この雰囲気の中、音の一つ一つが、ダフニスとクローエの世界の中の、風の流れや木々のざわめき、鳥の鳴き声に聞こえてきます。
 といいますか、まるで楽器の音ではないようです。
 たしかに、音自体はヴァイオリンの音、フルートの音、クラリネットの音等々です。
 しかし、それら全てが組み合わさるとき、楽器という概念は消え失せて、ダフニスとクローエの世界を構成する一要素に変わってしまうのです。
 わたしは、実際には「ダフニスとクローエ」の舞台を見たことはありません。
 けれども、目の前に現れているのは、紛れも無くダフニスとクローエがいる世界です。
 ほとんどヴァーチャル・リアリティのようです。

 この雰囲気はデュトワとモントリオール響でしか成し得ないものでしょう。
 おそらく、フランス等のラテン系のオーケストラでは色彩感が強すぎると思います。
 適度に淡くないと、この自然で素朴な雰囲気は出せないでしょう。
 また、他のオーケストラでは、重くなってしまうと思います。
 まるで空中に浮いているかのような浮遊感が無いと、この幻想的な雰囲気は出せないでしょう。
 全てが絶妙なバランスの上に成り立っているのです。
 ……聴いたことはないのですが、もしかしたら、アンセルメとスイス・ロマンド管なら可能かもしれません。
 楽団員のテクニックという面で、ちょっと不安がありますが……

 この曲には、楽譜上は4部合唱のコーラスが入っています。
 この合唱は純粋に効果的なもので、歌詞は無く、ヴォカリーズみたいに母音の響きのみで演奏されます。
 全曲の演奏の場合はともかく、組曲のみの録音の場合ですと、実際にはカットされてしまうことの方が多いのですが、デュトワは、楽譜どおり合唱を入れています。
 この合唱の効果は意外と大きく、世界を構成する上で、欠かせない要素の一つになっています。

 それにしても、楽器の音色、メロディーの歌わせ方、楽器間のバランス、全てについて、「これ以外は無い!」と思われるぐらい最適なものが使われることで、壮大な世界が創り出されているかと思うと、「恐れ入りました」と言いたくなるくらいほとほと感心します。(2001/7/20)


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