M.ムソルグスキー 組曲「展覧会の絵」

ラヴェル編曲

指揮ヘルベルト・フォン・カラヤン
演奏ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音1965年11月,1966年3月
カップリングストラヴィンスキー バレエ音楽「春の祭典」
発売ポリグラム(Grammophon)
CD番号POCG-5056(423 214-2)


このCDを聴いた感想です。


 とにかく厚く、よく歌っています。
 その特徴は、冒頭のプロムナードから表れています。
 楽器はトランペット1本だけのはずなのに、倍音がたっぷりと乗って響きが厚いため、まるでオクターブで2本重ねて吹いているように聞こえるほどです。さらに、音符にテヌートが付いているのをまさに楽譜通りに、一音ごとに十分に引っ張って歌わせています。
 冒頭のトランペットだけでもオーケストラ全合奏並の厚みがあるところへ、さらに他の楽器が加わってくるため、その迫力や重量感は桁違いです。もともと力のあるベルリン・フィルのパワーを最大限に発揮してくるのですから、これは他のオーケストラではちょっと太刀打ちできません。
 響きの厚みを保ちよく歌わせようと、テンポはわりと遅めです。古城の後の力強い第3プロムナードなんかは、目いっぱい厚くじっくりと歌わせるあまり、ほとんど止まりそうなぐらいのテンポになっているくらいです。
 響きが厚いのはフォルテ部分に限りません。
 弱いピアノでも伴奏の響きに厚みがあります。しかし、厚くてもフォルテの部分と違い、周りを圧倒するような重厚なものではなく、長毛のじゅうたんのように、しっかりと地に足が付いていながら柔らかく、メロディーを優しく支えています。
 これは、古城でのソロのサックスを自由に歌わせながら、伴奏が下から受け止めている辺りによく表れていますし、個人的にはカタコンブの後半の「死者とともに」の部分が素晴らしいと思いました。ここはピアノですし、ヴァイオリンは高い音なので、音がどうしても鋭く痩せがちになってしまうところですが、この演奏は、響きが柔らかく、決して縮こまった陰鬱な音楽ではなく、穏やかにして哀悼が感じられる音楽になっています。
 さらに、何といっても特徴を120%出し切っているのが最後のキエフの大門です。
 冒頭からパワーを存分に出し切った分厚い響きで、これに対抗できるのはフォルティッシシモで鳴らしたオルガンぐらいなものではないでしょうか。
 さらに、この上にトランペットが乗り、これまたここぞとばかりに歌いきっています。
 テンポはじっくり、ビブラートを大きくかけたその歌いっぷりは、まるでイタリアオペラかと突っ込みたくなるぐらいで、もう、やりたい事は全てやりつくしたという達成感が感じられるほどです。
 しかも、ただ厚く大きいだけでなく、思いっきり盛り上げるだけ盛り上げておいて、スパッとピアノに持っていく手際の良さもすばらしく、そこで聴くものをハッとさせ、そこからジワジワとフォルテに近づけて行き、途中から一気にヒートアップして、ピアノに落とす前のフォルテよりも、さらに一段階上のフォルテに持っていく辺りは、ただただ圧倒されるばかりです。
 厚い響きでよく歌っているため、鋭さや締め付けるような緊張感はありません。その点は、評価が分かれるところでしょうが、こういうスーパーパワー演奏は、カラヤン以外ではなかなか求めづらいだけに、わたしは高く評価します。こういう演奏は好きですね。(2009/4/11)


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