M.ムソルグスキー 組曲「展覧会の絵」

ラヴェル編曲

指揮エド・デ・ワールト
演奏ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団
録音1974年12月23〜27日
カップリングラヴェル バレエ音楽「ボレロ」
発売日本フォノグラム(PHILIPS)
CD番号28CD-5023(420 987-2)


このCDを聴いた感想です。


 聴く者の意表を突くような事を全くしていないオーソドックスな演奏です。
 悪く言えば「地味」といったところでしょうか。
 そういう印象を受ける理由の一つには、音色が綺麗にブレンドされ中間色に揃えてあるため、かえってモノトーンに近くなってしまったという点があります。
 しかし、それよりも大きな理由は、フォルテが全く激しくないことです。
 音量の小さいピアノの部分は、他の演奏とそれほど違いは無いのですが、それが大きいはずのフォルテになっても実質メゾ・フォルテぐらいで、力みすぎて音が荒れないよう抑えています。
 そのため、音色としては綺麗なのですが、限界ギリギリまで挑戦したという感じではなく、力強さや迫力に乏しいのです。
 わたしも、聴いていて初めのうちは「面白くない演奏だなぁ」と思っていたのですが、何回か聴いているうちに、このフォルテは、キチンとバランスが取れた美しさに注目すると、実は意外と聴きがいのあることに気がつきました。
「展覧会の絵」の演奏というと、わたしなんかは、つい音色の華やかさとか激しいアタックを求めてしまいますが、この演奏にはそういう刺激はありません。
 その代わり、このフォルテには柔らかさと調和があります。フォルテになっても決して耳にキーンと響いたりせず、安心してその響きに耳を傾けることができます。
 実際、「カタコンブ」とか「キエフの大門」とかのフォルティッシモの和音が、アタックの衝撃に耳を奪われること無くちゃんと美しく聴ける演奏というのは、他にはなかなか無いのではないでしょうか。
 ここで面白いポイントが、これだけ柔らかさを重視した演奏の中で、一つだけ特別扱いされているバス・ドラム(大太鼓)です。
 他の楽器は、いくらフォルテになろうと力強さを全く見せていない中で、バス・ドラムだけはズシリと重低音を響かせて迫力をつけています。
 もちろん全体が控えめですから、力任せに叩いたりしたものではなく、バランスを壊さない程度のものですが、それでも他が平坦なだけにちょっとしたアクセントになっています。特に、同じ打楽器のティンパニーとの扱いの違いは、なかなか興味深いところです。

 全くの余談ですが、このCDは、実は今を去る十ン年前、わたしが初めて買ったCDです。
 当時はクラシックのことは好きではありましたが、ほとんど知識が無く、単に「展覧会の絵」だけは以前から知っていて好きだったために買っただけで、指揮者やオーケストラは全くノーチェックでした。
 今、改めて見直すと、アムステルダムでは無いとはいえ、オランダの指揮者で、オランダのオーケストラという辺りが、なんとなく現在のメンゲルベルクを偏愛している姿を予見しているような気がします(笑)(2004/10/23)


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