M.ムソルグスキー 組曲「展覧会の絵」

ラヴェル編曲

指揮ラファエル・クーベリック
演奏シカゴ交響楽団
録音1951年4月23・24日
カップリングバルトーク 弦楽、打楽器とチェレスタのための音楽
発売MERCURY
CD番号434 378-2


このCDを聴いた感想です。


 クーベリック若い! ………というか速い!(笑)

 妙に速いテンポの「展覧会の絵」です。たぶん他の演奏と比べてもかなり速い方の部類に入るのではないでしょうか。
 おかげで、気持ちがいいくらい飛ばしていくスッキリした演奏なのですが、その代わりと言ってしまってはなんですが、スケールの大きさがだいぶ犠牲になっています。
 前へ進もうとしすぎて、盛り上がる部分でも、それが盛り上がりきれずに中途半端に終わっているような気がします。
 また、それに加えて、音を短めに切っています。特にテヌート音が他の演奏よりもかなり短いのには驚きます。

 以上の特徴から、一番恩恵をこうむっているのが、「バーバ・ヤーガの小屋」です。
 この曲は、音を短く切ることで、締まりが良くなり、素晴らしい緊張感と迫力を生み出しています。
 また、テンポも速すぎるということがなく、速めの適度なテンポに落ち着いています。

 逆に最も割を食ったのが、「キエフの大門」と「ビドロ」でしょう。
 「キエフの大門」はあまりにも速過ぎるテンポのため、大きなスケールになれなくなっています。
 コラールの部分があまりにどんどん前へ進んでいくのを聴くと、「やっぱりタメって重要なんだな〜」とつくづく思います(笑)
 一方「ビドロ」は、テヌートの音が短いことで、スケールが小さくなってしまっています。
 やはり、個人的にはテヌートの4分音符は目一杯伸ばした方が、重々しくて雰囲気が出ると思うんですけどねぇ……

 録音は、雑音が無く、個々の楽器の音が非常に鮮明に聞こえます。
 当時、マーキュリーの録音技術はDeccaと並んで世界最高だと思います。

 また、当時のシカゴ響の技術も高水準です。
 さすがにクーベリックのすぐ後のライナーの時代には及ばないとしても、十分に高いレベルを有しています。

 ところで、クーベリック前後のシカゴ響というと、ある人物との係わり合いを抜きには語れないでしょう。

 その人物の名は……『クラウディア・キャシディ』。
 当時のシカゴ・トリビューン紙の音楽欄を担当していた女性批評家です。

 この人は、クイーン・オブ・辛辣批評家といった感じで、シカゴ響の指揮者にとっては恐怖の的でした。
 とにかく、3代目のドゥフォーからショルティまで、批判にさらされなかった指揮者の方が珍しいくらいで、おそらく標的にならなかったのはロジンスキーとライナーだけではないかと思います。
 しかも、この批判が辛辣極まりないもので、温厚で知られるクーベリックでさえ、キャシディを一生許さなかったそうです。
 また、ショルティもまだ音楽監督に就任する前に客演した際に、キャシディに強烈に批判されたため、後年、シカゴ響から音楽監督就任への打診があった時も、キャシディが既にシカゴ・トリンビューンに書いていないことを確認してから就任を決めたほどです。
 古のハンスリックじゃあるまいし……いや、ハンスリックの場合評価されている部分もありますから、このキャシディほど、悪名高い評論家は歴史上初めてでしょう。
 ハッキリ言って……ものすごーく興味があります(笑)
 ぜひいつかはキチンと調べてみたいと思っています。
 しかし、日本では、このキャシディに関する資料って、ほとんど見かけた事がないんです。
 ……やっぱり、現地の資料を探してみるしかないんでしょうねぇ(2001/3/23)


サイトのTopへ戻る