M.ムソルグスキー 交響詩「はげ山の一夜」

リムスキー=コルサコフ 編曲

指揮イーゴル・マルケヴィッチ
演奏ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
録音1973年5月14〜18日
カップリングムソルグスキー 組曲「展覧会の絵」
発売BERLIN Classics(edel)
CD番号0021392BC


このCDを聴いた感想です。


 いろいろな点でハッキリとした演奏です。
 まずは音の輪郭です。
 硬めの音でアンサンブルが揃っているということもあるのでしょうが、ぼやけた音が無く、音の周りを太い枠で囲ったかのように境目がくっきりとついています。
 ただ、細部までクリアな透明感のある響きとは少し違い、その太い枠がついているために音の主張が強く、細かい部分はメロディーなどの目立つパートのベタッと押したような濃い響きの陰に隠れてそれほどきちんと聞こえるわけではありません。もっともその代わり、表現は豊かでドロドロとしたグロテスクな雰囲気は強く表れています。
 さらに、音をスタッカート気味に短くスパッと後ろを切っていることも、ハッキリとしているという印象を強めています。
 こういう点はライナーの演奏に近く、グロテスクな表情をつけながらも、音をダラーと伸ばしたりして必要以上に強調したりせず、『ここが一番のクライマックス』という部分でさえ、むしろ潔いといいたくなるくらいスパーンと後ろを切って先に進めています。
 テンポはほぼ楽譜通りに伸び縮みがあるため素っ気無いという感じはしませんし、逆に表情を豊かに付けながらも引っ張られたりせずテンポよく進んでいるという印象を受けました。
 さらにライナーと最も違う点はテンションの高さで、曲の冒頭から尋常ならざる迫力があり、なんだか精神の針がどこかに振り切れているみたいな非日常的な感覚がします。
 ただ、日常から大きく踏み外していると言うには、あまりにもハッキリし過ぎていて、どこかに正常な部分が残っています。しっかりと現状がわかっているというか、曲のイメージからすると本来はどこのものとも知れない不気味な化け物が集まって怪しげな宴会を開いているはずなのに、『どんな化け物かわからない』とか『何をしているのか分からない』ではなく、見た目はたしかにグロテスクだけど正体のハッキリと分かっている化け物が何々という悪魔を呼び出してこういう目的で宴会をやっていると、隅から隅まで完璧にわかっているかのようです。幽霊のような得体の知れない不安から来る恐ろしさというよりも、目の前に迫り来る戦車みたいな直接かつ具体的な恐怖といった感じがします。(2003/12/6)


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