M.ムソルグスキー 交響詩「はげ山の一夜」

リムスキー=コルサコフ 編曲

指揮フリッツ・ライナー
演奏シカゴ交響楽団
録音1959年3月14日
カップリングムソルグスキー 組曲「展覧会の絵」 他
発売BMG(LIVING STEREO)
CD番号09026-61958-2


このCDを聴いた感想です。


 呆れるぐらい揃った演奏です。
 1959年とは思えないくらい鮮明な録音ということもあり、細部まで明確で曖昧なところが無く、ガッチリと堅固に締まっています。
 これは、もう隅々まで明々と照明で照らし出しているようなもので、山に魍魎が集まって大騒ぎという雰囲気からは程遠く、悪魔もコソコソと逃げ出して行くような明瞭さがあります。
 しかもこれでテンポまで速いものですから、山というよりは都会に近く、それもハイウェーとか高層ビル街とかが似合いそうな雰囲気です。
 あっ、これだったら、いっそのこと「首なしライダー」とかそういった都市伝説の方が合っているかもしれませんね。

 また、アンサンブルが締まっているだけでなく、迫力も十分です。
 ティンパニーやシンバル、大太鼓といったパーカッションを強めに入れて、ここぞというところのアタックを決めていますし、トランペットは、たぶん吹いているのはもうハーセスなんでしょうなぁ。非常に輝かしい音色で、めちゃめちゃ存在感があります。
 トロンボーンも音を割る寸前まで出し切っていますし、圧倒的な迫力を感じます。
 ただ、一つだけ不思議なのはホルンで、抑え気味にしているのかそれとも録音の所為なのかはわかりませんが、前の方に聞こえてこないで奥に引っ込んでいるように聞こえます。
 ここでホルンだけ抑えるような必然性があるとは思えませんが、もしライナーの意志だとしたら、ぜひ理由を訊いてみたいところです。

 さらに、この演奏では、ライナーにしては珍しく、テンポを結構動かしています。
 もちろん、基本は上記の通り速いテンポなのですが、一定のテンポをずっと保っているわけではなく変化があります。
 ライナーがこの演奏で特に有効に使っているのがアッチェルランドです。
 アッチェルランドというと、フルトヴェングラーが有名ですが、ライナーの使い方もフルトヴェングラーとほぼ同じで、曲の盛り上がる部分に向かってテンポを速くして行く事で演奏効果を上げ、聴いている者をより一層興奮させていきます。
 ただ、曲の違いもあって、この演奏ではあまり長大なアッチェルランドは無く、短い急激なアッチェルランドを何回も何回も繰り返していくのです。
 しかも驚いたことに、いくら急激にテンポアップしてもアンサンブルが全然乱れないのです。
 そりゃたしかに、スタジオ録音ですし何回もリハーサルを繰り返しているとは思いますが、それでもピタッと合わせるのは簡単に出来ることではありません。
 それが、どれだけテンポが動いても一糸乱れぬアンサンブル……何だか、恐ろしいものを見ているようで背筋が寒くなってきます。
 はっ!? もしかして、これはちゃんと『恐怖感を与える』という目的を達しているのではっっ!!(笑)(2002/2/22)


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