間宮芳生 マーチ「カタロニアの栄光」

指揮ドナルド・ハンスバーガー
演奏イーストマン・ウインド・アンサンブル
録音1990年6月8・13日
カップリングホルスト 吹奏楽のための第1組曲 他
「Live in 大阪」より
発売SONY
CD番号SK 47198


このCDを聴いた感想です。


 わたしの大好きな曲です。

 この曲は、1990年の吹奏楽コンクールの課題曲Cとして作曲された曲です。
 マーチといっても、スーザ等に代表されるような太陽のように明るく輝くような曲調ではなく、短調をベースにした引き締まった緊張感の強い曲です。
 叩きつけるような迫力のある前奏といい、主題部に入ってからもスタッカートで綴られるメロディーラインと縦にグングン伸びていくベルトーンとが市松模様のように交互に絡み合い、圧迫するような緊張感と華やかな開放感の双方を兼ね備えています。
 タイトルからも想像できるようにバルセロナを中心としたカタロニア地方をテーマにした曲で、特に聖家族教会(サグラダ・ファミリア)で有名なガウディに捧げられた曲との事なのですが、わたしにカタロニア地方に関する知識が乏しい事もあって、カタロニアらしい雰囲気といわれても今一つイメージが湧きません。わたしにとっては、聖家族教会からの連想かもしれませんが、ヨーロッパでは普通に見かける教会の、天に向かって鋭角的に伸びる尖塔が、雨が降ろうと風が吹こうとビクともせずそびえ立っている姿を何となくイメージさせるような曲です。

 しかし、なんといっても最も印象に強く残ったのはトリオの部分です。
 低音を中心としたハーモニーが、あたかも鐘の音とその余韻のように、ボーンと頭の音を残して抜けて行き、その遥か上をメロディーだけが層雲のように漂っているのです。
 リズム系の打楽器も残ってはいるものの、二歩も三歩も引いた薄く軽い存在で、緊張感に充ちた主題部からトリオに入った瞬間に、まるでポーンと宙に放り上げられたみたいに世界が大きく広がります。
 そして、トリオの中でも一番インパクトがあったのがメロディーです。
 装飾音があちこちにちりばめられたそのメロディーは、どこか聴く者を突き放したような孤高さがあり、さらに異国的な雰囲気が感じられます。
 わたしには、まるで空からキラキラと光りながらゆっくりと降ってくるようなイメージが浮かびました。

 最初にも書いた通り、この曲は1990年の吹奏楽コンクールの課題曲なのですが、実は、わたし自身は、吹奏楽をやっていたのは高校生までで、この1990年には既にオーケストラの方で活動していました。
 ということは、吹奏楽コンクールにも参加しないため、高校卒業より後の年の課題曲は全くと言って良いほど知りません。
 しかし、唯一の例外がこの曲なのです。
 どこで聞く機会があったのかは忘れてしまいましたが、聴いた瞬間、「こんな魅力的な曲があったのか!」と驚き、すぐに好きになりました。
 メロディーもあっという間に覚えてしまったという事からも、その印象の強さをわかって頂けると思います。

 演奏するイーストマン・ウインド・アンサンブルは、さすがによく揃っています。
 特にこの曲がトランペットを酷使するだけに、トランペットが安定して芯の通った音を聴かせてくれるのは嬉しい事です。
 ただ、個人的には、もう少し暗めの音色で、もう一段階テンポを落としてくれれば、より重厚になり、緊張感の強い演奏になったのではないかと思います。
 さらに、トリオの部分は、もっとグッとテンポを落としてじっくりと進めて欲しかったところです。

 ちなみにこの演奏が行なわれたのは1990年の6月8・13日ですから、大抵夏に行なわれる吹奏楽コンクールに先駆けて課題曲が演奏されたことになります。
 そうすると、この演奏会を聴きに来て、コンクールで演奏する際の参考にしようとした人もきっと多くいたんでしょうね。(2003/2/15)


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