M.d.ファリャ バレエ音楽「三角帽子」より演奏会用第2組曲

指揮ウラディミール・ゴルシュマン
演奏セントルイス交響楽団
録音1953年12月15日
カップリングラロ スペイン交響曲 他
発売EMI(Capitol)
CD番号CDM 5 66552 2


このCDを聴いた感想です。


 三角帽子の第2組曲は、セギディーリャ(隣人たちの踊り)やファルーカ(粉屋の踊り)があり、スペインらしいエキゾチックな雰囲気が強く出ています。
 当然、演奏もどちらかというと土臭さを感じさせるものが多いのですが、ゴルシュマンの演奏はちょっと違います。洗練された上品な演奏なのです。
 テンポはあまり揺らさず、メロディーも色っぽい表情をつけて歌わせたりしません。
 速めのテンポで軽快に進め、ここぞという部分だけはテンポを大きく落として山をつくりますが、山を越えた後は、未練がましく後ろに引きずったりせず、サッと元のテンポに戻します。メロディーの歌わせ方も、スピード感があり、噴水のように涼やかな気持ちよさが感じられる品の良い歌い方です。
 多少極端な例え方をすると、レントラーに対するウィンナ・ワルツのようなもので(まあ、ウィンナ・ワルツも十分土着的ですが)、テンポが速く激しくとも洗練されていて荒々しさはありません。響きも華やかながら原色ギラギラではなく、中間色を多く使ったカラフルな色合いです。
 リズムも軽快で、隣人たちの踊りなどは、他の2曲と較べても特に明るく楽しげで、響きの華やかなのも加わり、まるで色とりどりの旗がはためいているような軽やかな印象を受けました。
 粉屋の踊りは、3曲の演奏の中では最も情緒が強く表面に出ていますが、それでもイングリッシュ・ホルンの分散和音のソロや続くオーボエのソロなどは流れるように滑らかです。途中で入る合奏のアタックも、当たりは強く、流れるソロを断ち切る良いアクセントになっていますが、強さだけを刻んですぐに抜き、重さを後ろに引っ張りません。
 終幕の踊りは、途中で全合奏による「ダンダダダ」というリズムに続き、管楽器が異国風のスケールを吹くところや、カスタネットが活躍する部分など、印象的なフレーズがいろいろ登場します。ゴルシュマンは、そういった部分はたしかにそれまでとは少し変えて強調はするものの、異国趣味べったりで押してきたりせず、テンポは速目を保ち、流れを途切れさせないようにしています。全体を通して曲の最後に向けて次第に盛り上げて行き、華やかに曲を終わらせています。
 スペイン風な情緒を期待すると物足りなく感じるでしょうが、この洗練された演奏は、逆に本場の演奏からはなかなか得られないと思います。

 余談ですが、タイトルの「三角帽子」というのは、登場人物の代官が被る帽子から来ています。その三角帽子は、単に「三角帽子」と言われた時に頭に思い浮かべるような、パーティなどで使われるものや魔法使いが被るような頭頂部の尖ったものではなく、頭の周囲に3つ頂点がある帽子なのだそうです。正直言って、あまり馴染みのあるものではありません。
 もっとも、わたしは「三角帽子」と言われると、形は上記のパーティなどで使われるものと同じですが、つい、セットで「自己批判」などの物騒な言葉を連想してしまいます。さすがに自分でもこの発想はどうかと思いますが……(2011/7/23)


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