L.v.ベートーヴェン トルコ行進曲 付随音楽「アテネの廃墟」より

指揮ウィレム・メンゲルベルク
演奏アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音1942年11月1日
発売及び
CD番号
Refrain(PMCD-3)
NAXOS(8.110864)


このCDを聴いた感想です。


 トルコ行進曲のメンゲルベルクの録音は、今回取り上げる1942年のものと以前取り上げた1930年のものの2種類あります。
 この2種類の違いを端的に表すと『縦』と『横』と言えるでしょう。
 1930年の録音は表拍に力が入っていて、1・2、1・2というリズムが強調されているのに対して、この録音は、表拍に力が入っていないわけではないのですが、後打ちとメロディーのバランスがずいぶん高くなっていて、縦のリズムだけではなく横の流れも強くなっているのです。
 また、表拍の強調の仕方も違いがあります。
 1930年の方が硬く、金属を叩いて反射したようなガンという鋭い音ですが、1942年の方はもっと重く、ちょうど木に斧を打ち込んで奥まで刺さったようなドスッという鈍い音です。これは、録音でバスドラム(大太鼓)の音がよく聞こえるため、余計そう感じるのかもしれません。
 音のキレや軽快さという点では、1930年の方が鋭い音の分だけ上回って聞こえるのですが、1942年の方は重い分だけ迫力があり、力強さではこちらです。まあ、軽騎兵と重騎兵の差のようなもので、どちらにもそれぞれ良さがあります。
 テンポの方も、1942年の方は1930年のよりもだいぶ遅めなのですが、以前1930年の演奏について書いた文章の中に一部間違いがありました。
 演奏時間が、1942年の方は約3分、1930年の方は約2分30秒と、30秒も違い、前回はその原因が1942年のテンポの遅さにあると書き、それも確かに原因の一つなのですが、今回改めて聞き直して、もっと大きな理由があることに気が付きました。
 どうも繰り返しが異なっているようなのです。
 手許に総譜が無いので正確にはよく分かりませんが、メンゲルベルク以外の演奏では演奏時間がだいたい1分半から1分40秒程度という点から、メンゲルベルクはどちらの録音もおそらく全体を二度繰り返しているのではないかと思います。
 で、1942年の方では1回目から2回目に移るときは、一度完全に最後まで演奏してまた最初に戻っています。しかし1930年の方では、1回目は最後まで演奏せず、おそらくコーダに入る直前まで演奏してそこから頭に戻っているようです。つまり、コーダの分だけ1942年の方が小節数が多くなっており、それが30秒の違いなのでしょう。
 もっとも、それを考慮に入れても、1942年の遅さは際立っています。特に冒頭のテンポは、とても行進できるような速さではありません。なんだか葬送行進曲といい勝負ができそうなぐらいです。(2005/3/19)


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