L.V.ベートーヴェン 交響曲第9番 ニ短調 <合唱つき>

指揮ウィレム・メンゲルベルク
出演ソプラノ:トー・ファン・デル・スルイス
アルト :スーゼ・ルーヘル
テノール:ルイ・ファン・トゥルダー
バス  :ウィレム・ラヴェッリ
演奏アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
アムステルダム・トーンクンスト合唱団
オランダ王立オラトリオ協会合唱団
録音1940年5月2日
カップリングベートーヴェン 交響曲第1番 他
「ウィレム・メンゲルベルグの芸術」の一部
販売PHILIPS
CD番号PHCP-3092


このCDを聴いた感想です。


 ベートーヴェンのチクルスの中の一曲です。
 部分的にテンポを伸び縮みさせているところもありますが、概して速いテンポをとり、音を短めに切ってスッキリまとめています。
 ただ、その部分的にテンポを変えているところは、かなり大きくテンポを変えている上、それが急に現れるので、聴いているときはかなり唐突な印象を受けます。なんだか、調子よく車を走らせているときに思いっきりブレーキを踏んだみたいに、前につんのめりそうになります。
 まあ、聴きようによっては、この前に倒れそうになる感じが良いということもできるでしょう。実際、わたしもそういうところが好きなわけですから(笑)

 この演奏はライブにしては録音が良く(まあ1940年代ですから技術は進んでますよね!?)、白熱した気迫が良く伝わってきます。特に、ティンパニーはクリア(かな?)に聞こえ、ちょっと硬めのアタックが効いた音ですが、豊かな響きが残っていて、第2楽章は他の演奏と較べても、もっとも好きな音色です。

 わたしはこの曲は第4楽章がもっとも好きなので、よくそこだけ取り出して聴くことが多いのですが、この演奏は第4楽章がもっとも変わっています。
 有名な「歓喜の歌」のメロディーも、スラーの部分とスタッカートの部分の差を激しく出しているため、ひとまとまりのメロディーには聞こえません。さらに行進曲部分のトランペットを強調したり、合唱の「Diesen Kuss der」と歌うの「Kuss」を妙に強調したりと、自然な音楽の流れとは正反対の演奏です。
 さらに有名な話ですが、最後プレストからどんどんテンポを速くして終わるところが、最後の小節で大きくテンポを落とすという、他の指揮者ではありえないような演奏をしています。
 しかし、あらためて聴いてみると、そういった特殊な解釈は音が大きくなった部分だけ行なっており、音が小さい部分では演奏の流れは自然です。
 それを考えると、聴く者を陶酔させるメンゲルベルクのロマンティシズムが、どういった構成で、それがいかに計算されて演奏されているかわかるような気がします。

 メンゲルベルクのベートーヴェン交響曲第9番はもう一つ録音があります。
 1938年5月1日のライブ録音でMusic&Arts社からCD化されていますが、解釈としては、両方ほとんど一緒だと思います。
 ただ、1938年の録音の方は、この録音に較べ録音が悪く、音が割れている部分がある上、細かい雑音があちこちに聞こえます。
 ちなみに独唱者は両方とも同じです。(2000/1/3)


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