指揮 | ウィリアム・スタインバーグ |
演奏 | ピッツバーグ交響楽団 |
録音 | 1957年3月26日 |
カップリング | ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番<皇帝> |
販売 | EMI |
CD番号 | CDM 7243 66888 2 7 |
わたしは、スタインバーグという指揮者を、フーベルマンの伴奏ぐらいでしか聴いた事が無かったため、今まで『まあ普通の指揮者かな』程度の認識しかありませんでした。 しかし、この演奏を聴いて、スタインバーグの凄さに改めて気付きました。 『こんなに生き生きとした演奏ができる指揮者だったんだ!』と。 特に素晴らしいのが第1楽章です。 この曲の長々とした序奏部は、実はわたしはあまり好きではないのですが、この演奏は、緊張感に充ちているのに息苦しくなく、伸び伸びとしているため、聴いていてもダレたり疲れたりする事がありません。逆にどんどん次が聴きたくなってきます。 この雰囲気は、Vivaceに入ってからもずっと続いています。 わたしは、スタインバーグの演奏というものは、アメリカのオーケストラにしてはドイツ風の重厚な演奏という噂を聞いていたのですが、この演奏で聴く限りは、重厚というより、むしろ、地面を蹴って軽々と飛び上がり、どこまでも高く上って行けるような高揚感や明るさや活発さを感じます。 下から支える低音も、粒が良く揃っていることもあり、どっしりと腰を据えるという雰囲気ではなく、安定しているけど決して重くならず、反対にどんどん前に引っ張ってテンポの良さを引き出しています。 また、特徴的な『タンッタタン』というリズムも、跳ねるように軽やかで、ワクワクするような楽しさがあります。 わたしが今まで聴いた第7番の中で、これほど気分が軽く弾むようになる演奏は初めてです。 この演奏で、もう一つ素晴らしいのが音質です。 1950年代末ということは、まだステレオ初期と言っていい頃なのですが、とてもその時代とは思えないほど鮮明です。 同時期の他のステレオ録音の中には、高音部が割れていたりとか、音が濁っていたりとか、かなり酷いものも多いのですが、この録音は隅々までハッキリと聞こえます。 おそらく、わたしが同時代では最高峰と考えているMercuryとも良い勝負ができるのではないでしょうか。 CDのリーフレットを読むと、元々はCapitolレーベルらしいので、これから注目してみたいと思います。(2002/3/29) |